６（１４）地獄通過の光景

○（６−１４）川向こうの地獄で (6-417)(6-418)(6-419)(6-420)(6-421)(6-422)(6-423) (6-424)(6-425) ケルベルス（三つの頭と三蛇の尾、蛇でできたたてがみを持つ冥界の番犬）の山のような姿が見えた。この犬は吠（ほ）え声を三つの咽喉（のど）から冥界中に響かせつつ、その巨体を洞窟に横たえていた。首のところに生えた蛇たちが鎌首をもたげたのを見た予言者の巫女は、蜜と睡眠薬を混ぜた黍団子（きびだんご）をその前にほうり投げた。 飢えて狂った犬は、三つの咽喉を開いて団子（だんご）に食いついた。するとたちまち逆立（さかだ）った背が弛（ゆる）みはじめ、犬は洞窟を塞（ふさ）ぐように、地面にへたばって伸びてしまった。こうして番犬が片づけられると、アエネアスは入口を確保し、引き返すことを許さぬ波路（なみじ）の岸から素早く離れていった。(6-417-425) (6-426)(6-427)(6-428)(6-429)(6-430)(6-431)(6-432) (6-433)(6-434)(6-435)(6-436)(6-437)(6-438)(6-439) すぐに声が聞こえた。それは子供たちの霊の激しい泣き声だった。生れて間もない彼らを黒い日が連れ去り、楽しい人生と母の乳房（ちぶさ）から引き離して厳しい死の淵に沈めたのだ。 それに続くのは冤罪（えんざい）で命を落とした人々の列だった。彼らの居場所は籤によって判官（はんがん）が指定する。その判事を務めるのは（クレタの）ミノス王で、壺から籤を振り出していた。また彼は無言の亡者の陪審団（ばいしんだん）を召集（しょうしゅう）し、当事者の生涯と嫌疑を討議するのに余念（よねん）がなかった。 その隣に嘆き悲しむ霊たちが連なっていた。それは罪なくして自らの手で命を絶ち、現世を憎悪して魂を投げ出した者たちだった。今になってはもはや、明るい大空の下（もと）、貧困に喘（あえ）いだり、厳しい試練に耐えたりすることもできない。もうそれが叶わぬ掟（おきて）なのだ。憎しみの汚水（おすい）を湛（たた）えた悲しい沼が彼らを阻（はば）み、ステュクス（冥界の川）の九重（ここのえ）の流れがそこを取り囲んでいた。(6-426-439) (6-440)(6-441)(6-442)(6-443)(6-444)(6-445)(6-446)(6-447) (6-448)(6-449) そこから遠くない一画（いっかく）から、悲嘆ヶ原（ひたんがはら：ルゲンテス・カムピ）が四方（よも）に広がりはじめた。人々がそう呼んでいるこの原野（げんや）を、愛の厳しい試練に曝（さら）されて憔悴（しょうすい）しきった人々が彷徨（さまよ）っていた。彼らはお互いに隔（へだ）たった細道を歩いていた。欝蒼（うっそう）としたミルテ（5-83）の森がその上を覆っていた。死も彼らの苦しみを終らせることができなかった。 パエドラとプロリクスがそこを歩いていた。またよく見ると、そこには自分の息子に殺された哀（あわ）れなエリピュレもいて、その傷からすぐに彼女だとわかった。 エウアドネとパシパエ（ミノス王の妻）の姿も見えた。それからラオダミアも一緒にそこを歩いていた。かつては男性の若者だったカエネウスもいた。彼女は、運命（さだめ）によってもとの女性の姿に戻っていた。(6-440-449)

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2015/11/15 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会