５（１２）地獄行きの暗示

○（５−１２）地獄行きをアンキセスの霊が暗示 (5-719)(5-720)(5-721)(5-722)(5-723) こうして年長（ねんちょう）の友の言葉にうながされても、彼の心はさまざまな心配事の中で揺れていた。そして黒い夜の女王(3-520)が二頭立て馬車で大空に駆け上がり、天を渡っていった。すると、上方（じょうほう）から、父アンキセスの姿が降りてきて、こんな言葉をかけたように思われた。(5-719-723) (5-724)(5-725)(5-726)(5-727)(5-728)(5-729)(5-730) (5-731)(5-732)(5-733)(5-734)(5-735)(5-736)(5-737) (5-738)(5-739) 「わが子よ、生きていた間は、わしの命より大切だったおまえ、イリアカ（トロヤ）の重い運命（さだめ）に耐えるわが子よ。わしはユピテルの御指図（おさしず）に従いここへ来た。主は艦隊を火災から守りたまい、高天（たかま）にいまして、いたく御心配（ごしんぱい）であられた。かの古武士（こぶし：セニオル）ナウテスは、最上の助言をしてくれた。それに従え。選抜した若者と剛勇無双（ごうゆうむそう）の武者（むしゃ：むさ）どもを引き連れてイタリアへ行くがよい。ラティウムでおまえが勝ち従えねばならぬのは、獰猛（どうもう）苛烈（かれつ）な一族なのじゃ。 じゃがその前に、閻魔大王（えんまだいおう：ディス）の支配したまう地下の国へ降（くだ）れ。深遠（しんえん）な冥界（めいかい：アウエルナ）をくぐり抜けてわがもとへ来よ。わしは、悲しい亡霊のさまよう忌まわしき地獄（じごく：タルタラ）に住む者ではない。わしは今、心清らかな者の集まる麗（うるわ）しき浄土（じょうど：エリュシウム）に住んでいる。 おまえが黒い獣の血をたっぷり捧げたあかつきには、清純なシビュラの巫女（みこ：いたこ）がおまえを導いてくれよう。その時、おまえはおまえの一族のすべての事柄（ことがら）と与えられる城壁のことを知ることになる。さらばじゃ。湿った夜の女王が行路の半ばを回った。苛酷な太陽神（たいようしん：オリエンス）が喘（あえ）ぐ馬を駆ってわしを吹き飛ばす」。(5-724-739) (5-740)(5-741)(5-742)(5-743)(5-744)(5-745) 姿はこう言うと、薄い煙となって空中に消え去った。「これからどちらへ行かれるのですか」とアエネアスは尋ねた。「どこへそんなに急いでおいでなのですか。誰から逃げるのですか。誰がわたしたちの抱擁（ほうよう）を妨（さまた）げているのですか」。こう言いつつ彼は灰を掻（か）き、眠っていた火を熾（おこ）した。彼は心を込めてペルガマの家霊（かれい：ラル）と白髪（しろかみ）のウェスタ女神の内陣（ないじん）に、聖なる挽（ひ）き割り麦と焚（た）きつめた香炉（こうろ）を捧げて祈った。(5-740-745) (5-746)(5-747)(5-748)(5-749)(5-750)(5-751)(5-752) (5-753)(5-754) もはや躊躇（ちゅうちょ）の余地はなかった。彼はアケステス王をはじめ一同を呼び集め、ユピテルの指図（さしず）と父の教えを伝えて、心に定まった決心を述べた。こうして相談が纏（まと）まると、アケステス王もそれを拒（こば）まなかった。婦人（マテル）たちは町に戸籍を移した。この地に留（とど）まりたい者、大いなる功業を遂（と）げんとする意志のない者たちは船を去ることになった。他の者は漕ぎ座を改築し、火に焼けた船体の木材を張り替え、櫂（かい）や索具（さくぐ）を取りつけた。こうして数は減ったが、戦（いくさ）を厭（いと）わぬ強兵（つわもの）たちが残った。(5-746-754)

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2015/11/11 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会