３（１４）シチリヤの山

○（３−１４）イタリヤを通過しシチリヤ島のアエトナ山を臨む (3-570)(3-571)(3-572)(3-573)(3-574)(3-575)(3-576)(3-577) 風の進入から守られた港は、巨大な空間の中に鎮（しず）まっていました。しかしすぐ近くでは恐ろしい粉塵を噴（ふ）き上げるアエトナ山がとどろいていました。山は時々、天へ向けて黒い雲を噴き上げます。黒い脂（あぶら）と白く輝く灰の混じった煙が、もくもくと膨（ふく）らみます。また太い炎の舌が吹き上がっては、星々を舐（な）めていきます。 また山は時々、岩石を噴きあげます。山のはらわたが千切（ちぎ）れて飛び出してくるのです。そして溶（と）けた溶岩（ようがん）が外気に触（ふ）れ、呻（うめ）き声をあげて固まります。山の奥底は激しく燃えているのです。(3-570-577) (3-578)(3-579)(3-580)(3-581)(3-582)(3-583)(3-584) (3-585)(3-586)(3-587) 一説（いっせつ）によると、雷霆（らいてい：イカヅチ）に撃たれて半焼けになったエンケラドウス（神々に挑戦して敗れた巨人（ギガス）のひとり）の身体（からだ）が、ここで重石（おもし）の下に横たわっているそうです。その上には巨大なアエトナ山がかぶせられ、その火口（かこう）から炎が吐き出されるのだといいます。 この巨人が疲れて寝返（ねがえ）りを打つたび、トリナクリア（シチリア）全体が音をたてて震え、天に煙の模様が描き出されるのだということです。われわれは一晩中（ひとばんじゅう）森に潜（ひそ）んで、あたりに漂（ただよ）う妖気（ようき）にじっと耐えていました。鳴りやまぬ音の原因は、つきとめることができませんでした。輝く星々や、天空の光体（こうたい）はすべて姿を隠（かく）し、漆黒（しっこく）の夜は、月を雲で覆（おお）っていました。(3-578-587) (3-588)(3-589)(3-590)(3-591)(3-592)(3-593)(3-594)(3-595) 暁星（あかつきぼし：エオウス）に続いて、ようやく次の陽が昇ってきました。アウロラ（曙の女神）が、天空（てんくう）から湿気（しっけ）と暗闇（くらやみ）を追い払ってくれました。すると突然、森の中から恐ろしく痩（や）せた人間（にんげん）の姿が現れました。かろうじて男だと判断できる奇態（きたい）で、まことに哀（あわ）れな身なりをしていました。彼は近づいてきて、懇願するように浜辺（はまべ）へ手を差し出します。 よく見てみますと、身体中（からだじゅう）に粘（ねば）っこい垢（あか）がこびりつき、長い髭（ひげ）を茫々（ぼうぼう）に生（は）やしていました。肉体を覆うものは、茨（いばら）の棘（とげ）でつなぎあわせてありました。だがその他の点ではギリシャ人にまちがいありません。彼は、かつて祖国の軍役につき、トロヤに派遣された兵士でした。(3-588-595)

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2015/10/19 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会