２（３）ラオコ−ンが忠告

(2-40)(2-41)(2-42)(2-43)(2-44)(2-45)(2-46)(2-47)(2-48)(2-49) この時そこへ、大勢の仲間を連れたラオコーンが、一団の先頭に立って砦の高楼から、息せき切って駆け下りてきました。彼はすでに遠くから叫んでいました、『いけませぬぞ。おのおの方（がた）、狂われたか。敵が引き上げたなどとお考えか。ダナイ（ギリシャ）勢が、罠もしかけず、贈り物など置いていきませんて。 ウリクセス（これはラテン語名：英語ではユリシズ：ギリシャ語ではオデュッセウスと訳される人物）のずるさを忘れてはいけませんて。この木馬の中にはアキウイ（ギリシャ）人が隠れておるやもしれませぬ。これはわれらの城壁を攻撃する仕掛けで、われらの住居を見下ろして、上から町を攻撃する腹やもしれませぬ。 ともかくも何かよからぬことが隠されておる。テウクリア（トロヤ）の方々よ、これを木馬だなどとたかをくくってはいけませぬ。これが何であっても、ダナイ人とは怖（こわ）いものじゃ。彼らが贈り物を持ってきたとしてもです』。(2-40-49) (2-50)(2-51)(2-52)(2-53)(2-54)(2-55)(2-56) こう言うと彼は、巨大な投げ槍を、獣の脇腹の、羽目板を合わせて膨らんだところめがけて、たくましい力をふるって投げつけました。槍はふるえつつ突き立ち、獣の腹が揺れました。そして内部がうつろな空洞（くうどう）を響かせて軋（きし）み音（おん）をあげました。 この時、もしも神々のお力がいただけていたら、またわれらの心がすさんでいなかったならば、槍は必ずアルゴス（ギリシャ）人の隠（かく）れ家（が）をあばき出し、トロヤは今なお存続し、プリアムスの高き宮処（みやどころ）も天にそびえていたことでしょう。(2-50-56)

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2015/10/3 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会