１２（１０）一本の矢が

○（１２−１０）アエネアスが戦闘状態に陥った味方に冷静を呼びかけたが (12-311)(12-312)(12-313)(12-314)(12-315)(12-316)(12-317) (12-318)(12-319)(12-320)(12-321)(12-322)(12-323) 敬虔（けいけん）なアエネアスは、兜（かぶと）もつけず、武器（ぶき）も持たずに手を上げ、味方（みかた）に向かって呼びかけた。「動いてはいかん。不意の混乱に引きずられて乱闘するな。怒りを鎮（しず）めろ。 すでに盟約が交わされ、条件（じょうけん：レゲスという）も決まったのだ。正当な決闘者はこのわしに決まっている。わしに一任（いちにん）せよ。恐怖を捨てろ。わしのこの手で盟約をちゃんと果すのじゃ。固めの盃（さかずき）が、トウルヌスをわしに引き渡したのじゃ」。 彼がこう叫び、制御に余念なく駆けずり回っていた時、一本の矢がびゅーんと音をたてて飛来した。それは誰の手が放った矢だったのか、いかなる旋風（せんぷう）に乗って飛んできたのか。それは偶然（ぐうぜん）か。あるいはどなたか神が、ルトウリ人にかかる栄誉を与えたもうたのか。この著（いちじる）しい手柄（てがら）の実態は闇に包まれたままだ。誰も自分がアエネアスに一矢（いっし）報（むく）いて、傷を負わせたと、言える者はいない。(12-311-323)

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2015/12/21 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会