１１（１２）トウルヌスの弁舌

○（１１−１２）トウルヌスがラティヌス王にこれみよがし (11-410)(11-411)(11-412)(11-413)(11-414)(11-415)(11-416) (11-417)(11-418) さて、父なる王よ、次に王のご諮問（しもん）の重大な案件につきお話いたしましょう。ここで、もし王が、これ以上の継戦（けいせん）はもはや見込み無しとの判断を下したまい、われら孤立し、たった一度の敗退のために戦力の土台を失い、幸運の女神（フォルトウナ）ももはや二度とこちらに微笑（ほほえみ）かけることはない、さような事態に立ち至りましたならば、われら和平を乞うことになりましょう。 われらから弱々しい手をさしのべることになりましょう。とは言え、日頃（ひごろ）鍛えた武勇（ぶゆう：ウィルトウスという）のひとかけらでも、まだわれらが保持する限り、われらが屈することはあり得ませぬ。かかる屈服（くっぷく）の憂（う）き目を見るよりは、討たれ斃（たお）れて口に土をふくむ者こそが、誰にも優（まさ）る果報者（かほうもの）、天晴（あっぱ）れな武士（もののふ）の鑑（かがみ）と申し上げる次第（しだい）にござ候（そうろう）。(11-410-418) (11-419)(11-420)(11-421)(11-422)(11-423)(11-424)(11-425) (11-426)(11-427)(11-428)(11-429)(11-430)(11-431)(11-432) (11-433) われらにはまだまだ余力がござる。まだ投入されていない若武者どもも控えてござる。イタリアの諸都（しょと）、諸民族（しょみんぞく）も、援軍（えんぐん）を用意して待っております。他方（たほう）トロヤ人どもは、ここで勝つには勝ったが、彼らにも相当な犠牲が出たはず。彼らのかなりの部分が失われていると見てさしつかえありますまい。大嵐（おおあらし）は、彼ら全体の上にも斉（ひと）しく（いっせいに）吹き荒れたのです。 まだ闘（たたか）いが始まったばかりのこの段階で、はやくも意気消沈（いき・しょうちん）の体（てい）たらくは、まことに見苦しうござる。喇叭（らっぱ：トウバという）が鳴るまえに、四肢（よんし）が、がたがた震えるようでは、話にはなりもうさぬ。一日（いちにち）のうちにも情勢の変化がござる。ましてや長き歳月は、多くの変化をもたらし、事態を好転させてくれます。 幸運の女神（フォルトウナ）の御顔（みかお）は、見るたびに異なります。女神は、多くの者を誑（たぶら）かしたまうものの、最後にはもとの堅固（けんご）な地位に戻してくださるものなのです。アエトリ人（ディオメデス）とアルピの町(11-251)の助力はもはや見込めぬとは言い条（いいじょう）、われらにはまだメッサプス殿(10-754)がござる。幸（さち）を恵むトルムニウス（ルトウリ人の易者（うらなう人））殿もご健在におわします。諸国民が、続々と武将を派遣してきております。 それはラティウムとラウレンテスの野が選び出した武者どもとあわせ、輝くばかりの戦力となります。これに加え、われらのために、かの勇猛なウォルスキ人の女武者（おんなむしゃ）カミルラ(7-811)が、騎馬軍団をととのえ、青銅に輝く部隊を率いて出番（でばん）を待っているのでござる。(11-419-433) (11-434)(11-435)(11-436)(11-437)(11-438)(11-439)(11-440) (11-441)(11-442)(11-443)(11-444) ただしかし、もしテウクリ人たちが、わしひとりに闘いを挑み、方々（かたがた）も、公共（こうきょう）の利益を損なうこのわしが、そうしてくれたら好都合だとお思いならば、それも宜（よろ）しゅうござる。わしがこれほどの好機を見逃すほど、わが手が勝利の女神（しょうりのめがみ：ウィクトリアという）に見放（みはな）されているとは、思えませんからな。わしは堂々と向かってゆきますぞ。相手（あいて）がアキレスにい優る強者（きょうしゃ）であれ、また彼と同様にウォルカヌスの腕になる武具を纏（まと）う者であれ、一向（いっこう）かまわぬ。 わが舅(しゅうと)ラティヌス王 このトウルヌス、方々（かたがた）とわが舅ラティヌス王に、この命（いのち）捧（ささ）げまする。わしの腕力（わんりょく：ウィルトウスという）は、わが高祖（こうそ）たちの名を辱（はずかし）めぬものでござるゆえに。『アエネアスの挑戦に向き合え』とは、よく言われた。それこそ、こちらの望むところでござる。ドランケス殿ではとても無理ですからな。神々が怒りたまえば、命（いのち）をもって償（つぐな）い、そこに功業（こうぎょう：ウィルトウスという）と栄光（えいこう：グロリアという）があれば、それを逃さず取るなどという技（わざ）は」。(11-434-444)

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2015/12/17 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会