１１（１１）トウルヌスほえる

○（１１−１１）トウルヌスのドランケスへの反論（主戦論） (11-376)(11-377)(11-378)(11-379)(11-380)(11-381)(11-382) (11-383)(11-384)(11-385)(11-386)(11-387)(11-388)(11-389) (11-390)(11-391) これを聞いてトウルヌスの凶暴な心は、めらめらと燃え上がった。彼は呻（うめ）き声を発し、それから、肺腑（はいふ）の底から声を張りあげた。「あいかわらず、滔々（とうとう）たる弁舌（べんぜつ）ですな、ドランケス殿。戦争が兵力を求めてやまぬこの時、あなたは、あくまで言論の力に頼ろうとなさる。 元老院（げんろういん：パトレスという）が召集（しょうしゅう）されると、真っ先に飛んでくるのは、あなただ。だが、あなたが参議室（さんぎしつ：クリアという）(7-182)を大声で満たし、さまで（そのように）、がなりたてることができるのも、市壁の堡塁（ほうるい）が敵を防ぎ、濠（ほり）に一滴（いってき）の血も溢（あふ）れていないからだけのこと。 それゆえ仮にもそうやって、雄弁の技（わざ）を駆使（くし）して拙者（せっしゃ）を腰抜け呼ばわりされるなら、ドランケス殿、定めしあなたは、テウクリ人どもをご自分の手で退治（たいじ）して屍の山を築き、さぞや見事な戦捷（せんしょう：戦勝におなじ）奉納品（ほうのうひん：トロパエウムという）を、野原の至る所に荘厳（しょうごん）なさったに相違ない。だがそれならば、ご存分に、あなたのお腕前、ご披露（ひろう）あって然（しか）るべしではござらぬか。 遠出（とおで）の要もござるまい。敵は間近（まじか）にいくらでもござる。城壁の周辺は敵だらけの現状ゆえな。ここは、共に敵に向かって行くべきところじゃ。なにゆえ、ぐずぐずなさるのじゃ。それとも、マウォルス（マルス）神はあなたに、巧みな弁舌を重ねて（巧弁を吹きつつ）、足踏みすることこそが肝心（かんじん）要（かなめ）だと、教えたまいしや。(11-376-391) (11-392)(11-393)(11-394)(11-395)(11-396)(11-397)(11-398) わしが『撃たれ』たですと。一体わしが何時（いつ）『撃たれ』たのでござる。たわけたことを口になさるな。テュブリスの川べりは、イリアキ（トロヤ）の血の増水（ぞうすい）にどっぷりと浸かってござる。さらには、エウアンドルス王の末裔（まつえい：パラスのこと）共々、その家が倒れ、アルカディア勢が滅び行くさまを、あなたもやがて見るはずじゃ。かのビティアスも、あの巨体のパンダルス(9-682)も、わしの強さは身に染（し）みて知ったはずじゃ。 また、わしが城門の中に閉じこめられ、敵陣（てきじん）中（ちゅう）に包囲（ほうい）されし(9-730)砌（みぎり：意味は：その状態のとき、おり、時節）、あの日わしが叩きのめして地獄（じごく：タルタラという）へ送り込んだ千人の兵（へい）たちの心にも、わしが『撃たれ』たなどという事は、思いもよらぬことでござるわ。(11-392-398) (11-399)(11-400)(11-401)(11-402)(11-403)(11-404)(11-405) (11-406)(11-407)(11-408)(11-409) あなたは『戦争には、何ひとつ良いことがござらぬ』と言われる。しかし、それを聞いて喜ぶのはダルダヌス一族の頭（かしら：アエネアスのこと）とあなた方だでけでござろう。それは実に愚かな利敵（りてき）行為（こうい）でござる。そうやって恐怖心を煽（あおり）り立てて情勢をかき乱し、二度も陥落の憂き目を見た一族（トロヤ人）の力を、いつまでもご賞賛なさるがよろしい。そのうちにはラティヌス王の軍隊（ぐんたい）たちも力（ちから）尽きることでござろう。 そしてプリュギア（トロヤ）の軍勢の前に、かのミュルミドネス(2-9)の大将（たいしょう）らも震え、テュデウスの子（ディオメデス）も、ラリサの住人アキレス(2-198)も跪（ひざまず）き、アウフィドウス（イタリア東南部の川）の流れも、ハドリアカエの波（アドリア海）を目前（もくぜん）に逆流を始めることでござろう。 おのおのがた、この御仁（ごじん：ドランケスのこと）が、わが叱責（しっせき）に怯（おび）えるふりを見せても、ゆめ心をお許しなきように、その手口（てぐち）の巧妙（こうみょう）さにはご用心なされよ。わしに脅（おどろ）かされたふりをして、わしを悪者（わるもの）に仕立てあげる腹なのでござる。だがドランケス殿、ご安心あれ。あなたの魂をこの手が奪うことはありませぬからな。びくびくせんでよろしい。御霊はお手元にとどめ置かれよ。ご自身のお胸の中にな。(11-399-409)

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2015/12/17 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会