１０（９）トウルヌスの反応

○（１０−９）アエネアスの船団を海岸線で撃破すべく檄をとばすトウルヌス (10-267)(10-268)(10-269)(10-270)(10-271)(10-272)(10-273) (10-274)(10-275) ルトウリ人の王（トウルヌス）とアウソニイの将軍（しょうぐん）たちは、よく事情が呑（の）みこめず、初めはただ驚くほかはなかった。だがすぐに、岸へ艫（とも：船尾）を向けた船団が海全体を巻き上げて押し寄せてくる姿が、彼らの目にもはっきりと写った。 アエネアスの頭頂（とうちょう）の冠毛（かんもう：クリスタ）の先端が、炎のようにめらめらと燃え上がった。黄金の盾錐（たてすい：ウムボという）（2-553）の先からは、恐ろしい火が噴き出していた。 透明（とうめい）な夜空に、血の塊（かたまり）のような彗星（すいせい：ほうきぼし：コメタエ）が赤く不吉な光を放つ時には、こんなふうに見えるものだ。疲れきった人間たちに旱魃（かんばつ）と病気を運んでくる狼星（おおかみぼし：シリウスのこと）(3-142)の炎が出現する時も同じだ。天体（てんたい）が悪（あ）しき光で陰鬱（いんうつ）になってゆく。(10-267-275) (10-276)(10-277)(10-278)(10-279)(10-280)(10-281)(10-282) (10-283)(10-284)(10-285)(10-286) しかし、大胆不敵（だいたんふてき）なトウルヌスの自負心（じふしん）は揺るがなかった。彼は海岸線を確保し、水際（みずぎわ）で敵の来襲を食い止めようとした。彼は言葉を発して兵（へい）の勇気を喚起（かんき）し、大音声（だいおんじょう）で叱咤（しった）した(9-130)（この一行は後世の挿入とみなされている）。「祈りを捧（ささ）げて待ち望んだその時がいま来（き）た。おのおのがた、右手を存分（ぞんぶん）に振るわれよ。武士（ぶし：モノノフ）の手にこそ、マルス神は宿りたまうぞ。 われら皆、自分の妻を心に思い、自分の家を思い起そうぞ。偉大な行為に思いを馳（か）せ、われらが父祖（ふそ）の事跡（じせき）に倣（なら）おうぞ。今からは、波打際（なみうちぎわ）に打ち出（い）でん。敵が下船（げせん）して陸に足をおろして手間（てま）取る僅（わず）かの隙（すき）こそ好機（こうき）なれ。幸運の女神（フォルトウナ）は勇気をこそ加護したまうものなれ」。 彼はこう言いながら、心中（しんちゅう）、共に引き連れて攻撃に向かう面々（めんめん）と、攻城（こうじょう：アエネアスの息子の砦攻め）の続行（ぞっこう）を任（まか）せる面々の人選（じんせん）に余念（よねん）がなかった。(10-276-286)

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2015/12/06 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会