１０（４）ユピテルの裁可

○（１０−４）ユピテルがウェヌスとユノの論争の判定を先延ばしと決定 (10-96)(10-97)(10-98)(10-99)(10-100)(10-101)(10-102)(10-103) ユノがかく熱弁（ねつべん）を揮（ふる）うと、天上の神々たちは一斉にどよめきを挙げて、さまざまに賛意を示した。その様子（ようす）はちょうど、風が吹き始めの、あの現象に似ていた。森がざわめき、渦巻く風の騒音が次第に高まると、水夫（すいふ）たちは大風（おおかぜ）の到来を察知する。 その時、宇宙の全権を保持したまう全知全能（ぜんちぜんのう：オムニポテンス）の父なる大神が口を開いた。彼が話し始めると、いと高き神々の館（やかた）は沈黙し、地底より震える大地も、険（けわ）しい大空（おおぞら）も静まり返った。西風（ゼフェルス）たちも活動を止め、海は水面をぴたりと抑（おさ）えた。(10-96-103) (10-104)(10-105)(10-106)(10-107)(10-108)(10-109)(10-110) (10-111)(10-112)(10-113)(10-114)(10-115)(10-116)(10-117) 「わしの言葉を心に受け止め、しっかり肝（きも）に銘（めい）じておくように。アウソニイ（イタリー）人がテウクリ人と同盟を結ぶことは考えられぬ状況じゃ。そこもとたちの争いは当分続くものとせねばならぬ。一体、トロヤ人であれ、ルトウリ人であれ、どちらにどんな分があり、双方（そうほう）、いかなる見込みを抱いているのか、わしは当分判断を控える。 かかる城攻めを行うのがイタリー人たちの順当な運命なのか、あるいはひょっとしてトロヤ人どもの方に重大な錯誤（さくご）があり、彼らが凶兆（きょうちょう）を押し切って事にあたったのか、どちらにしてもじゃ。とは言え無論、わしはルトウリ人たちにもしたい放題（ほうだい）をさせるわけではない。双方は自分の裁量（さいりょう）で困難を引き受け、幸運の女神（フォルトウナ）をものにするように。ユピテルは王として公平である。運命（さだめ）が道を示す(3-395)のじゃ」。 大神はこう言うと、兄弟（閻魔大王）のステュクス（冥界の川の名）の川にかけて、そのどろどろした油の流れにかけて、その岸を洗う黒い渦（うず）にかけて頷（うなず）いた。すると大神の動きにつれて天（オリュムプス）全体ががたがたと震動した。王の言葉はこれで終った。ユピテルは黄金（おうごん）の玉座（ぎょくざ）から立ち上がった。すると天上の神々たちが王を取り巻いて、出口まで彼を見送った。(10-104-117)

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2015/12/06 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会