１（６）海神ネプトウヌス

(1-124)(1-125)(1-126)(1-127)(1-128)(1-129)(1-130) この時、海原（うなばら）のどよめきで嵐の接近に気づいたネプトウヌス（ユピテルの弟の海神：ネプチューン、ポセイドン）は、流れが海底から逆流するのを目にしてひどく驚き、海面を見渡しながら、穏かな相貌（そうぼう）の頭を高波の上にもたげた。 すると水面いっぱいに拡がったアエネアスの艦隊が、彼の目に見えた。トロヤ人たちは波に翻弄され、天空の嵐が彼らに覆いかぶさっていた。そこでネプトウヌスは妹ユノの怒りと悪巧みを見抜いた。(1-124-130) (1-131)(1-132)(1-133)(1-134)(1-135) (1-136)(1-137)(1-138)(1-139)(1-140)(1-141) 彼は東南風（エウルス）と西ッ風（ゼフェルス）を呼び、叱りつけた。「あいかわらず仲良くつるんでやっとるのう、おまえら風の一族は。わしの意向を無視して天地をひっくり返し、わがもの顔にどんちゃん騒ぎをやりおる。 何をしてくれるか、ばかものどもが−−−いや、まず彼を鎮まらせよう。今度やったらただでは済まんぞ。急いでお帰り、お前らの王に告げよ。大洋の支配権はおまえらの王のものではない。三叉槍（トリデンス）ともども籤（くじ）によってわが手に帰したものじゃとな。おまえらの王は、かの厳島（いつくしま）を治めればよいのじゃ。 東南風（エウルス）よ、そこがおまえらの住家（すみか）じゃろうが。アエオルス王めはそこの庭でふんぞりかえっておればよい。かの王は風どもの牢獄をしっかりと閉じて治めるがよい」。(1-131-141) (1-142)(1-143)(1-144)(1-145)(1-146)(1-147) 言うが早いかネプトウヌスは、沸き立つ海を鎮め、雲を集めて追い払い、太陽を戻してやった。キュモトエ（水娘：ニンフ）とトリトン（ネプトウヌスの子）が、尖（とが）った岩から船を引き離すと、ネプトウヌス自身それを三叉槍で軽々と運び、砂州（さす）を広げ、海原を宥（なだ）めた。それから海神は、からからと戦車の車輪を転がし、波の上を滑っていった。 (1-142-147) (1-148)(1-149)(1-150)(1-151)(1-152)(1-153) (1-154)(1-155)(1-156) よくあることだが群衆が暴動を起こし、下賎（げせん）ゆえに松明（たいまつ）や石を飛ばし、あわや狂乱の戦闘が勃発（ぼっぱつ）しようとする。そんな時、敬虔の心あつく勲功（いさおし）ひとかたならぬ人物を目にすると、群衆はたちまち黙り込み、耳そばだてて立ち尽くす。するとこの人物は言葉で人々を諄々（じゅんじゅん）と説得し、ついには荒（すさ）んだ心を宥めてしまう。 このときの海祖（ゲニトル）ネプトウヌスの働きはまさにこれだった。彼が海原を見やりながら馬を駆り、開けてきた空へ舞い上がりながら悠々と手綱（たづな）を操（あやつ）って車を御すると、さしも轟きわたった騒音も、大洋から一掃された。(1-148-156)

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2015/9/20 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会