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| 48-22あの時、彼ら無信仰の者どもがお前たちと戦いを交えていたら、きっと大敗北を喫したことであろう。そうなったが最後、誰が彼らを守ったり助けたりしてくれるものか。48-23昔からこれがアッラー独特のなさり方。アッラーのなさり方に改変はあり得ない。48-24とにかく、その（アッラー）が、お前らを彼らより優勢にしておいてからマッカの低地で彼らを抑え、お前らを抑え、互いに手を引かせて下さった。アッラーはお前たちがしていることを全部見透し給う。 敵味方の識別 48-25もともと彼らは無信仰で、お前たちを神殿に近寄らせず、せっかく奉げものを送ってもみんな途中で抑えて定めの場所に届かないようにしていた。それでも（彼らの中にも）お前たちの知らない善男善女が相当いるから（戦いにならぬようにとりはからったまでのこと）。お前たちが（そういう本当の信者まで）踏みつぶし、それと知らずにとんでもない罪を背負い込んだりすることがないように。とにかくアッラーは御心のままに誰にでもお情をかけ給う。もし（敵方にまざっている本当の信者）だけはっきり別に分かれていたら、勿論我らは（和平協定など結ばせずに）無信仰な者どもだけ酷い罰を蒙らせてやったことであろう。 ---イスラムかどうかの分別の方法が跪拝である。ユダヤ教徒の割礼の起源はアブラハムが一族と奴隷の男につけたペニスの皮の切除である。ペニスを調べれば、身内かどうか、あるいは自分の奴隷どうかを一瞬に判別できた。一定の時刻に跪拝する者が「アッラーのしもべ」すなわちイスラムなのである。偽者はこれで駆除できる。 48-26あの時、無信仰な者どもの胸の中にむらむらと慢心、つまり無道時代独特の慢心が起って来たのを見てとって、アッラーは使徒と信者たちの上に天から休らぎを下し、嫌応なしに自制の二字を押しつけておしまいになった。もともとこういう態度は（異教徒よりも信徒の方が）うってつけだし、また柄に合ってもおるから。まことに、アッラーは全知におわします。48-27まずこれでアッラーは、かねて使徒に（お見せになった）まことの夢をそのまま実現して下さった次第。「いつの日か、アッラーの御心ならば、汝ら必ず聖なる神殿にはいることができようぞ、（ある者は）頭を剃り、（またある者は）髪を刈って、なんの心配もなく」と。すなわちお前たちの知らない（先の）ことまでアッラーは知っていらっした。そればかりか、その前に手近な勝ちいくさまで用意して下さった。 世界制覇の夢 48-28（アッラー）こそはこの使徒に導きと正しい宗教とをもたせてお遣わしになったお方。これをありとあらゆる宗教の上に君臨させようとの大御心。さ、アッラーがこう証言し給うたら、それだけでもう沢山ではないか。 跪拝の跡 48-29ムハンマドはアッラーの使徒。彼に従う者どもは異教徒にはきつく、仲間同士ではいたわり合い、あれ見よ、腰を ---アラビヤの使徒の最初は、格差社会の認識であった。人になぜ貧富の差があるのか。富める者は働かず、それでいて富を殖やしている。貧しい者は休みなく働かされてなお貧しい。そして自分は貧者の側にいる。 見ると、富者は偶像を祀っていたが、ユダヤ人とキリスト教徒は偶像を拝まない。ここに、社会変革を試みるひとつのヒントが生まれた。「アラビヤの偶像」対「アラビヤの一神教」である。ただ後者には歴史という根がない。そこで、ユダヤ人の聖典の人物を借用した。それも神話の領域の有名人だけである。 そして、新たなる唯一神に「アッラー」というアラビヤ名を与えた。初期コーランの編者である俯瞰者が巧妙なのは、アッラーを変数名として使ったことである。変数には値が代入できる。コーランの場合、「創造主」、「イスラム」、「俯瞰者」がその値である。いくつかの値からなるので、「我ら」とも記されたが、多くの場合それは「イスラム」の組織名である。 かくして、富者の富を貧者が掠奪できる理論が完成した。偶像崇拝者（富者）を唯一神信者（貧者）との間に宗教対立を喚起し、戦争に持ち込むのである。勝利すれば、たちまち町を襲い、人品を掠奪する。ここに、単純な盗賊行為を、アッラーという御旗によって複雑化させ、勝利によって浄化するシステムが誕生したのである。アラビヤの跪拝は、ユダヤの割礼に相当する宗教的シンボルとなった。 |
| 第４８章「勝利」（完） |
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