２９（４） ２９（４）
| 29-52天と地のすべてに通じ給うお方。たわいもないものを信仰してアッラーに背くような人々、そういう人々はいまに大損しようぞ。29-53彼ら、今ああして汝に天罰はまだかまだかと訊ねているが、はじめから ---さて、 「ジャハンナムはもう信仰なき者どもをぐるりと取巻いて（逃げ道もなくなって）いるのだ」とは、イスラムの兵が富者の町を取り巻いている、という意味である。分捕りものの分け前がほしくて、イスラムに合流する者（部族）が出てくる。現実的な恐ろしい情景が連想される。 29-56これ、お前たち信仰ぶかいわしの僕よ、大地はこんなに広いではないか。（どこへでも行って思いのままに）わしを崇めるがよい。29-57誰でもみんな一度は死の味を見ねばならぬもの。そのあとで、みんな我らのもとに連れ戻されて来る。29-58信仰し、義しい行いにはげむ人々は我らが天国の高殿に宿を与えようぞ。見下ろせば 29-60己れの食料すら自分ではどうにもできぬ動物がなんと多いことか。そういうものにはアッラーが食わせていらっしゃる。勿論お前たちにも。まことに、耳敏く、何から何まで御存知のお方。29-61あの人々にきいて見るがよい、「天と地を創造し、太陽と月とを抑えつけて（人間に）役立つようにして下さったのは誰だ」と。きっと彼らとて「アッラーだ」と答えるにきまっている。さ、それなら、なぜあんなに邪道に迷いこんでおるのか。 29-62アッラーともなれば、ご自分の僕の中の誰に物資をふんだんに授け、誰に引き緊めるかは、すべて御心まかせ。ともかくアッラーともなれば、どんなことでも一切御存知。29-63あの人々にきいて見るがよい、「天から水を降らせて、一旦枯死した大地をそれで甦らせるのは誰だ」と。きっと彼らとて、「アッラーだ」と答えるにきまっている。そしたら「ああなんと有難いことではないか、アッラーは」と言うがよい。もっとも、彼らのうち大部分はわけがわからないであろうけれど。 アッラーは変数名である。ほとんどの場合、値は「イスラム」であるが、このように、たまに「創造主たる自然現象」が代入される。 29-64この世は、ただ束の間のたわむれにすぎぬ、遊びにすぎぬ。来世こそ（まことの）生命。と言うても、仲々みんなにはわかるまいが。 29-65舟に乗っている間は、盛んにアッラーに祈り、信仰ただ一筋に誠を尽すくせに、一旦無事陸地に送り届けておやりになると、たちまち変じて邪神どもを拝み出し、29-66せっかくの我らのお恵みを有難いとも思わず、いい気になってうかれ廻る。いまに見よ、必ず思い知らせてくれようぞ。 29-67なんたることか。一体彼ら気がつかないのか、我らの特別のはからいで、こうして安全な聖域ができたということに。まわりでは、今だに人間が絶えず |
| 第２９章「蜘蛛」（完） |
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