１９（４）イスラーム １９（４）イスラーム
| 比較的オリジナルなイスラームの話 19-65我らは汝の御命令がなければ降りてこない。我らの前にあるものも、うしろにあるものも、またその間にあるものも、すべては挙げて（主の）統べ給うところ。汝の主は決して忘れっぽいお方ではない。19-66天と地と、その間なる一切を司り給うお方ではないか。さ、お仕え申すのじゃ。どこまでもどこまでも、ねばり強くお仕え申すのじゃ。あのお方と肩をならべて（神）と呼べるようなものを（ほかに）知っているか。 19-67「おい、おい、それではこのわしが、一旦死んでから、また生きて引き出されると言うのか」などと人は言う。 イエス・キリストの復活を否定する軽い言葉が挿入。 19-68以前、全くの無であったものを我らに創造して貰ったことを忘れたのか。 19-69よし、それでは、我らが必ず必ず彼らを召し寄せてやる。それからシャイターンたちも。そうしておいて、ジャハンナムのまわりを膝ついたままで曳き廻してやる。 19-70それから、各宗派ごとに、お情ぶかい御神にたいして一番なまいきだった者を選り出してやる。19-71そうなったら、どれが一番そこで焼かれるにふさわしい者か、さぞ一目瞭然になることであろう。19-72よいか、お前たち一人のこらず一度は必ずあそこまで降りて行かねばならないのだぞ。これはもう主にとっては、絶対に抜きさしならぬ、決定ずみのことなのだ。19-73さて、その上で、敬虔な人たちだけは救い出す。が、不義な徒輩はそこに居すわりとなす。 19-74みなに我らのまぎれもない徴を読誦（どくしょう）して聞かせると、罰当りどもは信仰ぶかい人たちに向って、「さて、どちらの側が地位から言ってまさっているかな。つき合いから言ってどっちが立派かしら」などと言う。19-75だが彼らより以前に我らが滅ぼした世代がどれほどあったことか、みんな（彼ら）よりもっと物持ちで、豪奢な生活をしていたものだが。 19-76言ってやるがよい、「迷いの中にいる者は、お情ぶかい御神のはからいで、いくらでも長生きするがいい。19-77いずれ、今警告を受けているそのことが、すなわち天罰なり、あの時なりが、目のあたりに現れて来たら、どちらがひどい立場か、どっちが弱勢か、彼らにもはっきりとわかることであろう。」19-78だが、正しい道を辿る者は、アッラーが益々手引きして下さろう。19-79末永く残る義しい行いこそ、主の御もとでは最上の御褒美を戴ける、最上のお返しを戴ける。 19-80見たか、我らの神兆を信じない男が、「なあに、わしだって財産も息子もたくさん頂戴できるさ」などと言っている。19-81一体、窈冥界（ようめいかい）でも覗いて来たのか。それともお情ぶかい御神と何か（特別の）契約でも結んだのか。19-82どうして、そううまくは行きはせぬ。あの男の言葉は全部我らが書きつけておいて、いまに責苦の時間を長くしてやる。19-83彼が（自慢らしく）口にしていることは我らがそっくり取り返し、彼はたった独りで我らの前に現れることになろう。 19-84彼ら、アッラーのほかにたくさん神様をこしらえて、それで威勢をつけるつもりになっておる。19-85どうして、そううまくは行きはせぬ。向うは彼に拝まれては有難迷惑。敵にこそなれ、（味方などしてくれるものか）。 19-86汝気づかなかったか。我ら、あの罰当りどもにはシャイターンたちを遣わして、盛んにけしかけさせておるのだ。19-87されば、汝は、何もそうあわてて彼らをやっつけようとしなくてもよい。我らが数を数えているだけのこと。 イスラーム神軍 19-88我ら敬虔な人々を、お情ぶかい御神のもとに隊伍ととのえ召し集めるその日。19-89罪ふかい者どもは、水飼いに行くけもののようにジャハンナムへ駆り立ててやるその日、19-90お情ぶかい御神と、あらかじめ契約してある者以外は、誰も絶対に執成しはきかないであろうぞ。 再び、神の御子の否定に戻る 19-91「お情ぶかい御神にお子ができた」などと言う者どもがおる。いや、まことにお前たち、よくもひどいことを言ったもの。19-92天もために裂け、地は割れ、山々また一時に崩れ落ちんばかり。19-93お情ぶかい御神にお子が生れたなどと称するとは。お情ぶかい御神にお子ができようはずはない。 天の父なる神、イエス・キリスト、聖霊は、目に見えぬ神。信じる能力のない者には悟りようのない神の奥義が、古代ユダヤの地で実現した。その胎盤はユダヤ教であったが、イエス・キリストの救は、ユダヤ民族の氏神を超えた。アラビヤの預言者の経験則においては、とうてい理解し難いユダヤ教の境地である。 19-94天上、地上にある者一人のこらずお情ぶかい御神のもとに僕となって参上する身。全部残さず精算して、正確に数をお数えになってある。19-95みな一人一人が、復活の日には自分独りで御前にまかり出る。19-96信仰に入って善行にいそしむ人々、そういう人々にはお情ぶかい御神が必ず慈愛をかけて下さろう。 ユダヤの厳しい神は、イエス・キリストのゆえに、父なる神となられた。イエス・キリストの名によってのみ、神の罰からのがれられる。その救は、行いによらない、それがキリスト教の真髄である。ユダヤの神はイエス・キリストのゆえに父なる神となられたが、アッラーの神にはお子がない。お気の毒というほかない。 アラビヤの氏神 19-97こうして我らがこの（啓典）を汝の言葉でわかりやすくしてやったのはほかでもない、これで汝に、敬虔な人々には喜びの音信を伝え、強情な者どもには警告を与えさせたいと思えばこそ。 旧約聖書は世界宗教の経典ではない。ユダヤの民が、バビロン、ペルシャ捕囚後に完成させた経典である。たとえば、旧約聖書冒頭のアダムとエバの逸話は、人類の起源を書いたものではなく、ユダヤ社会の男尊女卑を最初に規定したものである。「男は女より偉い」などと言っては、幼児の作文のようなもので、およそ経典にはならないのである。 そして、その思想が広範囲であるのは、捕囚地での高度な文化の吸収があったからである。旧約聖書の律法の主題は、その子孫が、天寿を全うすることにある。律法を犯せば、石で打って殺されるから、それを教え諭している。律法は、律法に叛いたものを哀れむことなく殺せ、と命じているからである。 繰り返すと、旧約聖書は古代ユダヤ人社会のものである。キリスト教はユダヤ民族宗教を越えて世界宗教になったので、ユダヤ人に止まりたい者はユダヤ教のままである。それは、ユダヤ人とサマリヤ人の関係に似ている。キリスト教徒から見ると、ユダヤ教徒はサマリヤ人である。（本日の啓示、2013/6/29） コーランはアラビヤ人のための聖典である。アラビヤ人の諸神のうち、どの神が一番偉いかということが主題である。そのために民族や種族の色彩は薄くなっている。そして、他を貶めて、目に見えないアッラーをご本尊とする。「唯一神」にしても、アッラーはユダヤの神と同じではない。アッラーはアラビヤ人（アラビヤ語の分かる人々）の民族神である。 すなわち、アッラー（アラビヤの唯一神）とエホバ（ユダヤの唯一神）とは同じではない。キリスト教の唯一神（エホバ）は、イエス・キリストのゆえに、父なる神となられた。キリスト教徒は、イエス・キリストの名によって、唯一神を「父なる神」と呼ぶ。「父なる神」、それはイエス・キリストが掟を取り払われたからであり、それぞれの掟を重視するユダヤ教徒やイスラム教徒には理解し難い信仰の概念であろう。 イスラムの滅ぼした世代に言及 19-98が、それにしてもこの者どもより以前に、我らが滅ぼしてやった世代がどれほどたくさんあることか。その人々のうちただの一人でも見かけたか。その人々の囁き声一つでも聞えるか。 アッラーとイスラムはひとつである。我らとは、イスラムとりもなおさずアッラーである。 |
| （完） |
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