オデュッセイアの構図

オデュッセウスはケパレニア人として１２隻を率いてトロイ戦役に赴いた大将である。それが全ての船と部下を失って独りで帰国したのである。ナウシカの前に裸で現われた理由がそれであろうが、実話としてはおかしなことである。部下たちはイタケ島やその近郊に戻るよりも、他の地中海の諸都市に留まることを希望したのではなかろうかと思う。しかし、それでは文学にはならない。アポロドロスの「ギリシャ神話」は、宗教書であり、ギリシャ人の聖書だと思うが、ホメロスの著作は、宗教書ではなく文学である。

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オデュッセウスは、１２の軍船の大将である。「イリアス」では、その知将ぶりが書かれているが、「オデュッセイア」では、肝心のところで眠ってしまうし、その大将としての責任も思わない、実質何一ついいところのないだめ男である。「オデュッセイア」は、女性のための文学作品なのである。実質はヘレネとペネロペを通し、男に翻弄された女性たちの魂をなぐさめているのである。「イリアス」とこの「オデュッセウス」は、共に松平千秋氏の訳であるから、二つの作品の精神背景が全く違うことがよく分かる。

2015/3/1 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
2015/4/2(説明図入替)