ファリア司祭(しさい)とダンテス

物語の展開にファリア司祭の存在は不可欠だった。スパダの末裔に仕え、その財産を継承したファリア。彼はその宝の秘密を知った直後に、イタリヤ統一を目論む政治犯として逮捕されてしまった。シャトーディフで居合わせた若者の心底と才能を見抜き、ファリアは自らの知識をダンテスに移してやった。ダンテスはファリア大学院ゼミのたった一人の卒業者だった。そして、ファリアはなおもダンテスが疑うその宝の継承者にダンテスが加わっており、「自分が死ねば、宝はすべて君のものだ」と言った。恐れるダンテスに司祭は、「あなたはわたしの息子なのだ！」と叫んだのだった。

宝を手にしたダンテスは、まずカドルッスから情報を聞き出した。そしてモレル氏の苦境を知り、その隠れた善行の数々のゆえに、最初の奇跡を行った。ファリアの死からまだ半年ばかりなのに、そのようなことができたのは、まさに彼がファリア大学院ゼミの優秀な卒業生だったからなのだった。一介の船乗りにできることではなかったのだ。

引用者：2016/9/21　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義