（１４）ドイツ王の （１４）ドイツ王の
| ドイツ王が教皇派と 1-4-14-1こうしたドイツ王（おう）の悩（なや）みに教皇庁（きょうこうちょう）とイタリア自治都市（じち）（とし）は強力（きょうりょく）に働（はたら）きかけた。1-4-14-2西暦（せいれき）１２３４年（ねん）、ついに皇太子（こうたいし）は皇帝（こうてい）に叛旗（はんき）を翻（ひるがえ）し、ロンバルディア自治都市連合（じち）（とし）（れんごう）と盟約（めいやく）を結（むす）ぶ。1-4-14-3教皇派（きょうこうは）の領主（りょうしゅ）がその周囲（しゅうい）に結集（けっしゅう）した。 皇帝の対応「地獄の 1-4-14-4太子謀反（たいし）（むほん）の報（ほう）を受（う）けた皇帝（こうてい）は、急（いそ）いで巨額（きょがく）の金（かね）を準備（じゅんび）し、わずかの供回（ともまわ）りを率（ひき）いただけで冬（ふゆ）のアルプスを超（こ）えた。 1-4-14-5我（わ）が子（こ）の離反（りはん）に心（こころ）は痛（いた）んだが、その一方（いっぽう）で冷徹（れいてつ）に今度（こんど）の事態（じたい）を分析（ぶんせき）していた。 1-4-14-6太子（たいし）がどう考（かんが）えているかにかかわらず、この動（うご）きの背後（はいご）にあるのはイタリア自治都市（じち）（とし）と教皇庁（きょうこうちょう）の金（かね）である。1-4-14-7ハインリヒを担（かつ）いだ連中（れんちゅう）はその金（かね）で釣（つ）って味方（みかた）を集（あつ）めているのだ。1-4-14-8だから、この謀反（むほん）は金（かね）で解決（かいけつ）できる。1-4-14-9そう考（かんが）えた皇帝（こうてい）は、兵（へい）を準備（じゅんび）せず金（かね）だけ持（も）って単身（たんしん）ドイツに乗（の）り込（こ）み、惜（お）しみなくばらまいた。 ドイツ王の理想は瓦解、反逆者の 1-4-14-10反乱（はんらん）は瓦解（がかい）し、ハインリヒは逮捕（たいほ）された。1-4-14-11皇帝（こうてい）は我（わ）が子（こ）に反逆罪（はんぎゃくざい）を適用（てきよう）せざるを得（え）ず、王位（おうい）と継承権（けいしょうけん）を剥奪（はくだつ）されたハインリヒは目（め）を潰（つぶ）され、プリアの城（しろ）の塔（とう）に監禁（かんきん）された。 1-4-14-12絶望（ぜつぼう）と苦悩（くのう）の六年（ろくねん）の後囚（のち）（とら）われの皇子（おうじ）は、別（べつ）の獄（ごく）に移送（いそう）される途中（とちゅう）の山道（やまみち）で、馬（うま）に乗（の）ったまま断崖（だんがい）の上（うえ）から身（み）を躍（おど）らせ、悲劇的（ひげきてき）な生涯（しょうがい）を終（お）えた。 1-4-14-13皇帝（こうてい）フェデリーコの様子（ようす）は常（つね）と変（か）わらぬように見（み）えたが、彼（かれ）の心（こころ）は血（ち）を流（なが）していた。1-4-14-14身近（みじか）の者（もの）にこう心中（しんちゅう）を洩（も）らしたいう。1-4-14-15「外敵（がいてき）に一度（いちど）たりとも敗（やぶ）れたことのない皇帝（こうてい）が、身内（みうち）の問題（もんだい）に苦（くる）しんで打（う）ちひしがれていると知（し）れば、世（よ）の心猛（こころ）（たけ）き父親（ちちおや）たちはさぞ驚（おどろ）くことだろう。 1-4-14-16だが、王者（おうじゃ）の心（こころ）がどれほど不撓（ふとう）であれ、その感情（かんじょう）はやはり自然（しぜん）の法則（ほうそく）に従（したが）うものである。1-4-14-17子（こ）の罪悪（ざいあく）に憤（いきどお）りつつもその墓（はか）の前（まえ）で涙（なみだ）を流（なが）す親（おや）は、昔（むかし）も今（いま）も絶（た）えることはあるまい」。1-4-14-18フェデリーコはすでに、引（ひ）き返（かえ）すことのできない魔道（まどう）に足（あし）を踏（ふ）み入（い）れていた。 ---ゴッドファーザー（３）のラストシーンが思われる。マフィアのボスとして非情の限りを尽くしたマイケルだったが、娘が殺されてからの彼は、腑抜（ふぬ）けそのものだった。そのラストシーンは後味（あとあじ）の悪いものだった。 |
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| ミチオ書・第一部・（文章）歴史物語・藤沢道郎 ページ製作者：ささくら修道会 笹倉正義 |
| 2014/11/13、 2017/2/16、2019/01/05 （ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：通称：「オリジナル教会」 |