ジャンヌの神

先に結論を言うと、ジャンヌの神は、十字軍の神である。彼女の生きた３００年以上前に、九度にわたる十字軍がエルサレムを目指した。イタリア、スペイン、とりわけフランスから軍勢が聖地奪還を目指した。「主は欲したもう！」、それが掛け声であった。 その発起人はローマ法王である。十字軍派遣期間の中には、清貧の聖者フランチェスコ、神聖ローマ帝国皇帝フェデリコもいたが、それもジャンヌからすれば２００年以上前の昔物語である。彼女の通った教会がフランチェスコ修道会なら、歴史は変わったかもしれない。 ジャンヌたちは、教会の四方山話のなかで、十字軍の話を聞いていたに違いない。英国軍がフランスに侵入して、反乱軍を鎮圧する社会情勢が、ジャンヌに十字軍を連想させたのであろう。「神は欲したもう！十字軍を起し、それを率いよ」と。もし、それがフランチェスコ修道会なら、イエス・キリストがそれを欲したもうとは教えなかったはずである。 このように考えると、ジャンヌの行動が理解できないことはなくなる。その頃は、法王庁もフランス系との分裂があった時代で、その点でも複雑な社会情勢だった。法王庁は、フランチェスコに代る新しい聖人の登場を期待していたが、それが女であったために、難しい舵取りを迫られた。女が男の上に立つことは、教会ではあり得ないことだったからである。

2015/6/15 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会