（１０）外科医アスクレピオス

3-10-1アトラスとオケアノスの娘プレイオネよりアルカディアのキュレネにおいて七人の娘が生れた。 3-10-2そこで一番年長（ねんちょう）のマイアはゼウスと交わってキュレネの洞穴（どうけつ）中でヘルメスを生んだ。 Ｂ．ミノスの子グラウコス（Ｇｌａｕｋｏｓ）（３） （Ｐ１４７） 3-10-3タユゲテはゼウスによりラケダイモンを生んだ。彼の名をとってラケダイモンとかの地は呼ばれるのである。ラケダイモンとエウロタス−−−彼は地より生れたレレクスと水のニムフたるクレオカレイアの子である−−−の娘スパルテよりアミュクラスとアクリシオスと婚したエウリュディケが生れた。 ヒュアキントスは、巷説に従えば、アポロンの少年であって、彼をアポロンは誤って円盤で打ち殺した。 キュノルテスよりペリエレスが生れた。彼はステシコロスの言うところによれば、ペルセウスの娘ゴルゴポネを娶ってテュンダオレス、イカリオス、（１）アパレウス、（２）レウキッポスを生んだ。 （１）アパレウスとオイバロスの娘アレネよりリュンケウスとイダスとペイソスが生れた。しかし多くの人の説によればイダスはポセイドンの子と言われている。リュンケウスは眼の鋭いことで衆に優れていたので、地下の物をも見る事を得た。 （２）レウキッポスは娘（A）ヒラエイラと（B）ポイベを生んだ。ディオスクロイが彼女らを掠（サラ）って妻とした。彼らの外に（C）アルシノエが生れた。（C）彼女とアポロンが交わって、女はアスクレピオスを生んだ。 しかし一説にはアスクレピオスの母はレウキッポスの娘（C)アルシノエではなくて、彼はテッサリアのプレギュアスの娘コロニスの子であるという。そしてこれによればアポロンはこの女を愛し、直ちに交わったが、彼女は父の意見に反してカイネウスの兄弟イスキュスを好み、彼と交わったという。 アポロンはこれを告げた鴉（からす）を呪って、それまで白かったのを黒くし、女をば殺した。彼女が焼かれている時に火葬台より嬰児をひき掠（サラ）って、ケンタウロスのケイロンの所に連れて行き、子供は彼の所で育てられる間に医術と狩猟の技とを教えられた。 そして彼（アスクレピオス）は外科医となり、その術を非常に研鑽進歩させて、ある者の死を妨げたのみならず、死者をもよみがえらせた。 アテナよりゴルゴンの血管から流出した血を得て、左側の血管より流出せる血を人間の破滅に、右側よりのを救済に用い、これによって死者を蘇生させた。 彼によって生きかえったと称せられる幾人かの人々を余は見出したが、これはステシコロスがその「エリピュレ」中で言うところによれば、カパネウスにリュクルゴス、「ナウパクティカ」のお著者の言うところによればヒッポリュトス、パニュアッシッスの言によればテュンダレオス、オルペウス教徒の言によればヒュメナイオス、メレサゴラスの言によればミノスの子グラウコスである。 ゼウスは人間が彼（アスクレピオス）より治療の術を獲得して互いに助け合いはしまいかと恐れて、彼を雷霆（らいてい）で撃った。 3-10-4 3-10-5 3-10-6イーカリオスと水のニムフなるペリボイアよりトアス、ダマシッポス、イメウシモス、アレテス、ペリレオス、およびオディッセウスの妻となった娘のペーネロペが生まれた。テュンダオレスとレダからはエケモスの妻となったティマンドラ、アガメムノンの妻となったクリュタイムネストラ、さらにアルテミスが不死としたピュロノエが生まれた。 3-10-7ゼウスは白鳥の姿となってレダと、また同じ夜にテュンダオレスが、交わって、ゼウスからはポリュデウケスとヘレネが、テュンダオレスからはカストル（トクリュタイムネーストラーが生まれた。 しかし一説には、ヘレネはネメシスとゼウスの娘である。それというのは、ネメシスがゼウスとの交わりを遁れて鷲鳥に身を変じたところ、ゼウスもまた白鳥の姿となって彼女と交わったからである。そしてこの交わりによって卵を生んだが、ある羊飼いがこれを聖森の中で見つけて、レダの所へ持って来て与えた。それで彼女は彼女はこれを箱に入れて保存しておいたところ、時が来て生まれ出たヘレネを自分の娘として育てたということである。 すぐれて美しく育った彼女をテセウスがさらってアピドナイへ連れて行った。しかしポリュデウケスとカストルとが、テセウスが冥府にいる間に軍を進めてその市を攻略し、ヘレネを取り、テセウスの母アイトラを捕虜にして引きたてた。 （P149) 3-10-8ヘレネと結婚せんものとギリシャの王たちがスパルタに赴（おもむ）いた。求婚者たちは次のごとくであった。ラエルテスの子オディッセウス、チュデウスの子ディオメデス、ネストルの子アンティロコス、・・・・（中略）・・・・、アトレウスの子メネラオス、・・・・、メノイティオスの子パトロクロス。これら大勢の人々を見てチュンダレオスは一人を選べば他の者たちが争いを起こしはせぬかと心配した。 3-10-9しかしオディッセウスが、もしペネロペと彼との結婚に力を貸してくれるならば争いが起こらぬある方法を教えようと約束したので、チュンダレオスが彼に助力しようと約すると、もし選ばれた婿が誰か外の者によってこの結婚に関して何か害を蒙った場合には、求婚者たちはすべて助けるようにと宣誓させるがよいと言った。これを聞いてチュンダレオスは求婚者たちに誓いをさせ、かくてメネラオスを彼自身で婿に選び、オディッセウスのためにイカリオスよりペネロペを乞うてやった。

次へ

掲載と閲覧・双方の注意事項

１．このサイトの読者の中には、本の購入者あるいは購入予定者がおられるであろうこと。

２．このサイトの目的は、キリスト教の説明書作成の一環であること。

３．「イリアス」と「オディッセイア」の物語と地獄行きについて参考になればと思ったが、その他の物語についても入力した。物語が実は部族の先祖にリンクするためのものであることに気づいたが、キリスト教には関係ないため、全文入力にはしなかった。物語が、部族の先祖、あるいは後裔に関連付けられることは、モーセ五書に似ている。ギリシャ神話を口伝（くでん）で継承したのは吟遊詩人たちである。モーセ五書は、ユダヤ人十二部族の宗教集団レビ人の作品であるだけに、律法を含んだ聖典として洗練されている。

2015/3/22 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会