（１）片サンダルの男

（Ｐ５６） イアソンはクレテウスの子アイソンとアウトリュコスの娘ポリュメデとの子である。彼はイオルコスに住んでいたが、イオルコスはクレテウスの後ペリアスが王となっていた。

ペリアスが王権に関して神託を乞うた時に、神は片方のサンダルの男に注意すべしと託宣した。初め王は神託の意味が解（わか）らなかったが、後になって了解した。

海辺でポセイドンに犠牲を捧げる時に多くの者とともにイアソンをもこの祭儀に呼び寄せた。イアソンは農作を好んで田舎（いなか）に住んでいたが、犠牲へと急いだ。しかしアナウロス河を渡る時に一方のサンダルを流れの中でなくし、一方だけで河から上った。ペリアスは彼を見て、神託を思い合わせ、彼に市民の一人の手によって殺されるであろうという神託があった場合に、もしもその権力を持っていたならば、どうするかと尋（たず）ねた。 イアソンは、その場の思いつきか、それともメディアがペリアスの災いになるようにというヘラの怒りによってか−−−というのは彼はヘラを尊敬していなかったから−−−「私だったら金毛の皮を持って来るように命令します」と言った。 これを聞いてペリアスは直ちにその皮を取りに行くように彼に命じた。この皮はコルキスのアレスの聖森の中の一本の樫の木に吊（つる）されてあって、眠ることのない竜によって護られていたのである。

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2015/1/18,1/29 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
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