（１）イダスの娘

 
第一巻（Ⅷ）（Ｐ４５）
カリュドンを支配していたオイネウスがディオニュオスより葡萄（ぶどう）の木を最初に授けられた。彼はテスティオスの娘アルタイアを娶（めと）ってトクセウスを得た。オイネウスは溝を飛び越えたというので自分自身息子を殺した。この他にテュレウスとクリュメノスと、アンドライモンと結婚した娘のゴルゲと、アルタイアがディオニュソスと通じて生んだと言われるデイアネイラがあった。このデイアネイラは戦車を御し武道を修め、彼女を得るためにヘラクレスはアケロオスと相撲（すま）ったのである。

アルタイアはオイネウスによって、アレスを父としていると言われているメレアグロスを生んだ。生まれてから七日（なのか）たった時に、運命の女神たちが現れて、炉の上に燃えている燃え木がすっかり燃えてしまった時にメレアグロスは死ぬであろうと言ったということである。

これを聞いてアルタイアは燃え木を取り上げて箱の中にしまった。メレアグロスは成長して不死身（ふじみ）の立派（りっぱ）な男子（だんし）となったが、次のようにして命を失ったのである。

その地の年々（としどし）の収穫の初穂（はつほ）を八百万（やおよろず）の神々に捧げるにあたって、オイネウスはアルテミス（豊穣の女神）だけを失念した。女神は怒（いか）って素晴しく大きくて強い猪（いのしし）を遣（つか）わした。

その猪は土地に種を播（ま）くことができぬようにし、家畜や出遭う人々を殺した。オイネウスはこの猪退治にギリシャ中の最もすぐれた勇者たちを呼び集め、獣（けもの）を退治（たいじ）した者にその皮を賞として与えると触れた。

この猪狩りに参会した者どもは次のごとくであった。
オイオネスの子（１）メレアグロス、
アレスの子（２）ドリュアス、彼らはカリュドンの者である。
アパレウスの子（３）イダスと（４）リュンケウスはメッセネより、
ゼウスとレダの子（５）カストルと（６）ポリュデウケスはラケダイモンより、

第一巻（Ⅷ）（Ｐ４６）
アイゲウスの子（７）テセウスはアテナイより、
ペレスの子（８）アドメトスはペライより、
リュクリゴスの子（９）アンカイオス（と）（１０）ケーペウスはアルカディアより、
アイソンの子（１１）イアソンはイオルコスより、
アムピトリュオンの子（１２）イピクレスはテバイより、
イクシオンの子（１３）ペイリトウスはラリッサより、
アイアコスの子（１４）ペレウスはプティアより、
アイアコスの子（１５）テラモンはサラミスより、
アクトルの子（１６）エウリュティオンはプティアより、
スコイネウスの娘（１７）アタランテはアルカディアより、
オイクレスの子（１８）アムピアラオスはアルゴスより集った。
彼らとともにテスティオスの子供たちもまたやってきた。

彼らが参会するとオイネウスは九日間（ここのかかん）彼らを饗応（きょうおう）した。しかし十日目（とおかめ）にケーペウスやアンカイオスやその他のニ三（にさん）の者が女とともに狩りに出るのをこころよしとせず拒絶したが、メレアグロスはイダスとマルペッサの娘クレオパトラを妻としていたにもかかわらず、アタランテ（１７番目）によって子供が欲しいと思って、彼らにアタランテとともに狩りに出ることを強（し）いた。

彼らが猪を取り巻いた時にヒュレウスとアンカイオスは獣に殺され、ペレウスは誤ってエウリュティオンをば投槍（なげやり）で撃ち殪（たお）してしまった。

先ず最初にアタランテが猪の背に矢を射込み、ついでアムピアラオスが眼を射た。しかしメレアグロスが獣の脇腹を刺して殺し、その皮を得てアタランテに与えた。

テスティオスの息子らは男たちがその場にいるのに女が賞を得ては恥じであるとして、もしメレアグロスがそれをそれを受けることを欲しないならば、血縁によってそれは自分たちの物となるべきであると称して皮をあとらんてアタランテから奪い取った。

メレアグロスは怒ってテスティオスの息子たちを殺し、皮をアタランテに与えたのであった。

ところがアルタイアは自分の兄弟たちの死を歎いて、かの燃え木に火をつけたので、メレアグロスは突然死んでしまった。

第一巻（Ⅷ）（Ｐ４７）
しかし、メレアグロスはこのようにしてなくなったのではなくて、イピクレスが最初に獣を撃ったという理由でテスティオスの息子らがその皮を争ったので、クレス人とカリュドン人との間に戦（いく）さが起り、メレアグロスが打って出てテスティオスの子供の中の数人を殺した時に、アルタイアは彼を呪い、彼は憤（いきどお）って家に留まっていた。

しかし敵が城壁に迫り、市民が彼の援助を歎願したので、彼はいやいやながら妻に説き伏せられて打って出て、テスティオスの残りの息子たちを殺した後、自分も戦塵の裡（うち）に殪（たお）れたのであるという説をなす人もある。メレアグロスの死後アルタイアとクレオパトラは首を吊って死に、死んだ男を歎いた女どもは鳥と化した。
 
 
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３．クレオパトラ、クレオパトラー（ギリシャ語: Κλεοπάτρα, ラテン文字表記: Kleopatra, Cleopatra）は、古代ギリシャおよびプトレマイオス朝エジプトの伝統的な女性名。歴史上の人物としてはクレオパトラ7世がもっとも有名である。ギリシャ語で「父の栄光」を意味し、現在でもギリシャでは人気のある女性名である。
（ウィキペディア閲覧：2015/1/25） 
 
　 

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