第３章「九年後の再会」

　第３章「九年後の再会」

3-1-1このいかにも優しい乙女（おとめ）がいま述べたように未成年のわたしの前に出現してから、多くの日々が流れた。3-1-2そしてそれからかっきり九年の歳月が経ち、その最後の日がまさに過ぎようとした日に、この奇蹟的な女性がまたも眼前にあらわれたのである。3-1-3純白の衣服をまとい、二人の、やや年上の婦人の間にはさまれて、わたしの前を過ぎて行く。3-1-4そして道を進ながら、わたしのいる方へ眼を向けた。3-1-5わたしはひどくどぎまぎしたが、女性はあの得もいわれぬ優雅な物腰でいかにも上品にわたしに会釈した。
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3-1-10そしてあの方のことをじっと考えるうちに、わたしは爽やかな眠りに落ちたのである。3-1-11すると夢の中で不思議なビジョンが目の前にあらわれた。
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3-1-16その主の君の腕の中に、紅の布一枚をかろやかにまとった裸体の女性が眠っていた。
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3-1-22そのときわたしの夢は破れた。3-1-23弱い眠りはあまりの苦痛に耐え切れず、わたしは目をさましたのである。

（第三章）（２）
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3-2-5韻文（いんぶん：韻：音の出た後まで聞こえるひびき）を書くすべは多少心得ていたから、ソネット形式に一詩をしたためると、＜愛＞の神に仕えるすべての人々にわたしはご挨拶を贈り、このビジョンについて判定をよろしくお願いすることとした。3-2-6そんな次第で眠りながら見たことを書くとめるべく、3-2-7心も空に奪われて「恋心多い気立てやさしい皆さん」で始まるソネットをわたしは書き出したのである。

韻文・詩歌（ラテン語ではなくトスカーナ弁で、韻を踏んだ文で書かれている）
（詩１）［１］
3-2-8恋心多い気立てやさしい皆さん、
3-2-9主である＜愛＞の神の御名によりお願いです。
3-2-10お返事をいただけませんか、
3-2-11わたしが述べる言葉がもしお目にふれるなら。

（詩１）［２］
3-2-12星が輝く夜の間の
3-2-13三分の一が過ぎたころでした、
3-2-14突然＜愛＞の大神が目の前に現われました、
3-2-15思い出すだに恐ろしい神でした。

3-2-16＜愛＞の神はいかにも嬉しげに、右手にわたしの心臓を持ち、
3-2-17両腕に君を抱いていました。わずかに布を身にまとって、
3-2-18あえかな君は寝ていました。

3-2-19そっと呼びさますと、＜愛＞の神は燃え熾（さか）る心臓をおびえる君に食べさせ、
3-2-20君が食べおえると、君を抱いて泣きながら去りました、
3-2-21＜愛＞の神アモーレは悄然（しょうぜん）と涙ながらに去りました。

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3-2-30わたしの夢について真に正しい判断を下すことのできた人は当時はいなかったけれども、その意味するところはいまでは明白であろう。
---「当時はいなかった」という意味は、それが今では昔の話しであることになる。

オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
2018/12/19