８（３）王子パラス

○（８−４）アエネアスが川を遡りエウアンドルス王のもとへ赴く (8-102)(8-103)(8-104)(8-105)(8-106)(8-107)(8-108) (8-109)(8-110)(8-111)(8-112)(8-113)(8-114) この時、たまたまアルカディアの王（エウアンドルス）は、都の前の聖林で、偉大なるアムピトリュオンの御子（ヘラクレス）と神々のための例祭（れいさい）を執（と）り行っていた。そこには王の御子のパラスと、貴人（きじん）の子供たちが全員顔を揃（そろ）え、それに質素な元老院（げんろういん）議員（セナトウス）たちも参加していた。彼らは乳香（にゅうこう）を焚（た）き、祭壇の御前（みまえ）で（いけにえの）生温（なまあたた）かい血煙（ちけむり）を上げていた。 すると突然彼らの目に、そびえる軍船（ぐんせん）が映った。軍船は森陰の間を滑るように進んできた。懸命に漕（こ）ぐ兵士たちの姿も見えた。この光景は大騒ぎを引き起こし、皆席を離れて立ち上がった。が、豪胆なパラスは、礼拝を中断しないように皆を鎮（しず）めると、槍を掴（つか）んでひとりで軍船に立ち向かった。 彼は遠くの丘からかく呼ばわった、「若き兵（つわもの）のかたがたとお見受けいたす。あえてこの異国の川筋をのぼりたまうは、いかなる故（ゆえ）あってのことに候（そうろう）や。何処（どこ）を目指して往（ゆ）かれるのか」。と彼は言った。「そもそも、いかなる素姓（すじょう）のかたがたに候や。何処の国よりお出でなされしや。われらとは、平和をお望みか、あるいは一戦（いっせん）を辞（じ）せざるご所存（しょぞん）か」。(8-102-114) (8-115)(8-116)(8-117)(8-118)(8-119)(8-120)(8-121) (8-122)(8-123)(8-124)(8-125) これに対して、父なるアエネアスは、手にオリーブの枝をかかげて敵意無きことを示しつつ、高く隆起した船尾から答えた、「ご覧のわれらはトロヤの一族でござる。目下（もっか）ラティニ人たちと抗争の槍を構えております。われら、かの者たちから、恐れ入りたる弓矢（ゆみや）馳走（ちそう）に与（あずか）り、ほとほと途方に暮れておりまする。 さてこそ、かくはエウアンドルス王を頼って参った次第（しだい）。なにとぞこの旨（むね）をお伝えくだされい。選（え）り抜きのダルダニア（トロヤ）の武人（ぶじん）が、同盟軍を探しているのでござる」。その名を耳にしたパラスは、ただただ驚き、しばらく言葉が出なかった。が、やがて、「あなたがどなたであれ、まずはご上陸なされたし。そしてわが父の前にて口上（こうじょう）を述べられよ。どうかわれらの竈（かまど）（家御守護神（ペナテス））の客人（きゃくじん）となっていただきたい」。 こう言うと、彼はアエネアスの右手を取り、自分の両手でしっかりと包（くる）んだ。そして聖なる森へ向かうべく、彼らは岸を離れた。(8-115-125)

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2015/11/22 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会