８（１３）母神の予兆に勇気百倍

○（８−１３）母神ウェヌスのプレゼントの予兆がアエネアスを励ます (8-520)(8-521)(8-522)(8-523)(8-524)(8-525)(8-526) (8-527)(8-528)(8-529) 王が語り終えた時、アンキセスの御子アエネアスと忠実なアカテスは、顔を伏せて考え込んだ。彼らの心中（しんちゅう）には予想される困難が次々と浮かんできて、すぐには考えが纏（まと）まらなかった。 だがこの時、キュテラの女神(ウェヌス)が、空（そら）を開いて合図（あいず）を送りたもうた。突然天空（てんくう）に稲妻が走り、雷鳴が轟いた。天地が動転した刹那（せつな）、空の彼方（かなた）よりテュレヌス（エトルリア）の喇叭（ラッパ：トウバ）の響きが聞こえた。 そして何度もくりかえし、物々しいどよめきが鳴りわたった。皆が上を見上げると、清らかに晴れた空の一隅（ひとすみ）の雲の中に武具が赤くかがやき、打ち合いながら轟いた。(8-520-529) (8-530)(8-531)(8-532)(8-533)(8-534)(8-535) (8-536)(8-537)(8-538)(8-539)(8-540) 他の人々は驚いたがトロヤの英雄（えいゆう：ヘロス：アエネアス）はこの物音（ものおと）を母なる女神の約束（やくそく）に違いないと確信した。彼は言った、「お静かにおしずかに。どうか、心配はご無用にお願いいたします。この現象が何の前兆（ぜんちょう）なのか。それはわたしが天（オリュムプス）に召喚（しょうかん）されたしるしなのです。 わたしを産みたまいし母上が予言を下されたのです。女神は、いよいよ戦（いくさ）が迫ってきたら、ウォルカヌスの武器を天（オリュムプス）から届けてわたしを助けたまうのです。だがこれは、憐れなラウレンテス人たちの殺戮が、これから始まるということなのです。わたしはトウルヌスを誅（ちゅう）することになるのだ。 父なるテュブリスよ、盾と兜（かぶと）と、たくましい屍（しかばね）を、いっぱい波にさらって逝（ゆ）きたまえ。敵どもよ、いざ戦列を組みたまえ。そして盟約を破棄（はき）するがいい」。(8-530-540) (8-541)(8-542)(8-543)(8-544)(8-545)(8-546)(8-547) (8-548)(8-549)(8-550)(8-551)(8-552)(8-553) 彼はこう述べると椅子（イス）から立ち上がった。そしてまず、すでに消えていた祭壇のヘラクレスの火を熾（おこ）した。そして昨日（さくじつ）に詣（もう）でた家霊（いえのれい：ラルという）と、簡素な家御守護神（ペナテス）に心をこめて再拝（さいはい）した。それからエウアンドルス王が古式に則り二歳羊を選定して屠（ほふ）ると、トロヤの若武者たちも同じ儀式を執（と）り行った。 事が終了すると、アエネアスは艦隊に戻った。彼は自分の兵（つわもの）を改めて選考し、特に武勇に優れた者を戦（いくさ）に伴うこととした。他の者は逝（ゆ）く川の流れに身を任（まか）せた。彼らは、アスカニウスのもとへ事の次第と父の事情を伝えるべく、悠然と進む川に運ばれていった。 さて、テュレナ（エトルリア）の地を目指すテウクリの兵（つわもの）たちには、馬が贈られた。アエネアスには、特に選ばれた名馬が用意された。赤褐色のライオンの毛皮が馬の全身をすっぽりと包み、その爪が黄金の光を放っていた。(8-541-553)

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2015/11/24 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会