８（１１）エウアンドルス王

○（８−１１）エウアンドルス王がアエネアスに助成 (8-454)(8-455)(8-456)(8-457)(8-458)(8-459)(8-460) (8-461)(8-462)(8-463)(8-464)(8-465)(8-466)(8-467) (8-468)(8-469) アエオリアの岸辺でレムヌス島の父神（ウォルカヌス）が事を急いでいる間に、エウアンドルス王のみすぼらしい館にも清々（すがすが）しい朝の光が差し込んできた。王が目を覚（さ）ますと、館（やかた）の軒先（のきさき）で鳥たちが朝の歌を歌っていた。老王は身を起して身体に貫頭衣（かんとうい：トウニカという）をまとい、テュレナ（エトルリア）のサンダルを足裏にむすび、テゲア（アルカディアの町(5-303)の剣を肩から脇腹に結びつけた。そして豹（ひょう）の毛皮（けがわ）を左肩から後ろへ垂（た）らした。 するとすぐに二匹の番犬（ばんけん）が高い玄関口（げんかんぐち）から飛んできて、主人のお伴を勤（つと）めて一緒についてきた。王はアエネアスの泊まっている奥の棟（むね）へ向かった。彼の頭には昨日の会話のことがあった。彼は武人（ぶじん）として、援助の申し出をする決心だった。 アエネアスの方も朝の仕度を済ませていた。王には息子のパラスが同道（どうどう）し、アエネアスはアカテスを立会人（たちあいにん）として連れていった。両者が邂逅（かいこう：思いがけなく出会うこと）し、右手を与え合うと、彼らは邸の中央に腰をおろした。こうして彼らはようやく立ち入った話をした。まず王が口を切った。(8-454-469) (8-470)(8-471)(8-472)(8-473)(8-474)(8-475)(8-476)(8-477) 「ここにテウクリ人最高の武将が無事におわします以上、トロヤの王家や国が滅んだなどと、軽々しくは言わせませぬ。天下の名将に対し、おこがましくは存ずるが、われらのささやかな戦力をお貸ししましょう。 われら、背後をトウスクス（エトルリア）の流れ（ティベリス川）に塞がれ、前からはルトウリ人たちに圧迫され、絶えず城壁の周囲に軍具の音を聞いて暮らしております。とは申せ、あなたには出来る限りの大きな兵力を出しましょう。わが王国の資力を尽して陣営をご用意させていただきたい。わが方にとりましてもこれは、またとない良き機会なのです。あなたが運命（さだめ）の導きのまにまに、ここまで至りたもうたのは。(8-470-477) (8-478)(8-479)(8-480)(8-481)(8-482)(8-483)(8-484) (8-485)(8-486)(8-487)(8-488) ここから程遠からぬところ、古き岩盤の上にアギュリナの都がそびえています。それはその昔、戦（いくさ）で高名を馳せたリュディア（小アジアの地方(2-782)の民が、エトルリアの尾根に切り開いたところです。そして長年栄えたこの一族を、無慈悲な圧政（あっせい：イムペリウム）と残酷な暴力で支配したのが、メッゼンティウス(7-654)という王です。 その殺戮（さつりく）の数々は、口（くち）にするもおぞましい出来事です。この独裁者（どくさいしゃ：テュランヌス）の事跡の野蛮さには、ただもうあきれるほかはありません。わたしはな、心から神々の報いが彼の頭とその一族に下ることを願っております。 彼は生きた人々を死者に縛（しば）りつけました。手と手、顔と顔をつなぎましてな、これが彼の拷問（ごうもん）のやり方でした。人々は血や膿（うみ）にまみれて、繋がれたまま、ゆっくりと死んでいきました。彼はこうやって殺人を行ったのです。(8-478-488) (8-489)(8-490)(8-491)(8-492)(8-493)(8-494)(8-495)(8-496) しかしとうとうたまりかねた市民たちが反乱を起こしましてな、武器を取ってこのおぞましい狂王（きょうおう：くるったおう）に対して立ち上がりました。彼らは王を、その館（やかた）ごと取り囲んだのです。ところが反乱者たちは、王の一味（いちみ：なかま）を殺し、建物に火を放ったものの、王その人は取り逃がしてしまいました。 王は殺戮をくぐり抜けてルトウリ人の領土へ脱出し、トウルヌスの客人として彼の武力を頼り、その保護を受けたのです。すると全エトルリアが正義の怒りに燃えて立ち上がりました。今や人々は王の返還を要求して止みません。人々は王を処刑することに決めたのです。彼らにはマルスの戦（いくさ）を辞さぬ覚悟ができています。 こういう事情があるのです、アエネアス殿。わたしはこの数千の軍隊をあなたに託したい。(8-489-496)

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2015/11/24 オリジナル教会（初代代表）　笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会