４（３） ４（３）
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| ○（４−３）ユノとウェヌスの腹 (4-90)(4-91)(4-92)(4-93)(4-94)(4-95)(4-96)(4-97) ディドがこうした心の病に捕えられ、気位（きぐらい）の高い女性が他愛（たあい）なく狂気に身をゆだねているのを、ユピテルの愛（いと）しい妻ユノ（ギリシャ十二神になぞらえた女神でヘラにあたる）はただちに察知した。そこでサトウルヌスの御娘（みむすめ：ユノ）は、ウェヌス（ギリシャ神：アプロディテ：アエネアスの母）に、かく話しかけた。 「お手並み拝見しましたよ。やるじゃありませんか。あなたとあなたの坊やさん（クピド：エロス：キューピット）は、大きな戦果をあげましたね。末永く記憶される偉大な神業（かみわざ）というべきだわ。なにせひとりの女を母子の神様して（？）たらしこんだのですからね。でもねえ、わたしは騙（だま）されませんよ。あなたはわたしたちの城壁を恐れている。そして天にそびえるカルタゴの建物をねたんでいる。(4-90-97) (4-98)(4-99)(4-100)(4-101)(4-102)(4-103)(4-104) ただ、いつまでもこんな事を続けるのはよくありません。争いごとには、どこかで限（きり）をつけるべきですよ。そこで、今後（こんご）はわたしたちがいつまでも平和に暮らせるよう、ここで結婚の契（ちぎ）りを交わしたらどうかしら。あなたは、心から望んだことをすべて得たのです。ディドは恋に身をこがしているではありませんか。 狂気が彼女の骨の髄にまで染みわたっています。だったら、わたしたち一緒にここの民を治めたらどうかしら。ふたりで平等に仕切ってみるのはどうかしら。プリギュア（トロヤ）の夫（アエネアス）を迎えるのも悪くないわ。そうしたらテュルスの民は結納（ゆいのう）としてあなったの手に渡ることになるのよ」。(4-98-104) (4-105)(4-106)(4-107)(4-108)(4-109)(4-110)(4-111) (4-112)(4-113)(4-114) ウェヌスにはユノの下心（したごころ）がすけすけに見えていた。イタリアの国全体をリビュアの岸の一部にしてしまいたいのだ。そこで彼女はこう応じた、「お言葉に逆（さか）らうなど狂気の沙汰（さた）ですわ。女王様に争（アガラ）おうなどと考える者はおりません。ただ、ただいまのお言葉、うまくゆけばよいのですが。運命（さだめ）がどうなっているのか、難しいところでございますわ。 ユピテル大神（おおがみ）は、テュルスの衆（しゅう）と、トロヤから出発した者たちとに、ひとつの都を共有させてくださるでしょうか。ふたつの民が交じり合い、盟約で結ばれることをお認めになるでしょうか。ま、でも女王さまは大神さまの奥様ですもの、大神様によくよくお頼みいただけるのでございますわね。そうしていただけますのならば、わたしどもにも願ったり叶（かな）ったりでございますわ」。すると女王ユノは、こんな答えを返した、(4-105-114) (4-115)(4-116)(4-117)(4-118)(4-119)(4-120)(4-121) (4-122)(4-123)(4-124)(4-125)(4-126)(4-127)(4-128) 「そのお役目はお引き受けいたしましょう。では、どのような手筈（てはず）で事を進めるか、まずは手短にお話しいたしますゆえ、よくお聞きください。アエネアスは、かわいそうなディドと一緒に森へ狩に行く仕度（したく）をしています。それは明日の太陽（ティタン）が昇りはじめ、光線が地上を照らし出す頃にはじまります。わたしは、彼らに霰（あられ）混じりの黒雲を送ってやります。馬に乗った狩人（かりうど）たちが駆けちがい、勢子（せこ）たちが山道に包囲網を敷くさなかにですよ。 わたしは彼らの上に雨を降らし、雷を鳴らして天を掻き回してやります。そうすれば供の者らは散々（ちりぢり）になり、夜の暗闇に包まれてしまいます。そこでディドとトロヤの棟梁（とうりょう：ドウクス：アエネアス）は、同じ洞窟に辿り着きます。わたし（縁結（えんむす）びの女神）も一緒にそこに立ち会います。 あなたさえおよろしければ、わたしはふたりに堅い契（ちぎ）りを結ばせます。そして彼女を、夫婦（めおと）の妻と呼ばせていただくわ。そうすれば、ここにめでたく祝言（しゅうげん）のはこびとなります」。この要求に逆らわずにうなずいたキュテラの女神（ひめがみ：ウェヌス）は、仕掛けられた陰謀を見抜いて微笑（ほほえ）む。(4-115-128) |
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2015/11/4 オリジナル教会（初代代表） 笹倉正義
正式名称：（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会