(15)ルッカ戦争の失敗(しっぱい)

ジョバンニの遺産相続
1-6-15-1十八万フィオリーニ(3.5g金貨=1万円、18X10000万円=180,000万円=18億円:2017/2/19 sasakura追記)の遺産(いさん)を受(う)けて後(あと)を継(つ)いだコジモはすでに40歳(さい)、二人(ふたり)の子供(こども)の父(ちち)でもある。

総師コジモの資質
1-6-15-2辛辣(しんらつ)な批判(ひはん)の刃(やいば)をかいま見(み)せるので亡父(ぼうふ)の温容(おんよう)には欠(か)けていたが、合理的・打算的(ごうりてき)・(ださんてき)な思考法(しこうほう)、冷静慎重(れいせい)(しんちょう)な性質せいしつ)、精妙(せいみょう)なバランス感覚(かんかく)を受(う)け継(つ)ぎ、感情(かんじょう)を面(おもて)に表(あらわ)さず、事業面(じぎょうめん)では幼児(ようじ)から父(ちち)の薫陶下(くんとう)(か)に充分(じゅうぶん)な経験(けいけん)を積(つ)み、政治面(せいじめん)では敵(てき)を作(つく)らず味方(みかた)を増(ふ)やす術(すべ)をよく心得(こころえ)ていたし、学問芸術(がくもん)(げいじゅつ)については父以上(ちち)(いじょう)の理解力(りかいりょく)と見識(けんしき)を示(しめ)したから、メディチ家(け)の総師(そうし)としての資格(しかく)に欠(か)けるところはない。

1-6-15-3加(くわ)うるに16歳(さい)年長(ねんちょう)の従兄(いとこ)アベラルドと5歳(ごさい)年下(としした)の弟(おとうと)ロレンツオが脇(わき)を固(かた)めてしっかり補佐(ほさ)したから、ジョバンニの死(し)に際(さい)してもメディチ財閥(ざいばつ)の屋台骨(やたいぼね)は揺(ゆ)らがなかったのである。

ルッカ戦争の停滞が深刻な経済不況
1-6-15-4対ルッカ戦争(せんそう)は実権派(じっけんは)の思惑(おもわく)に反(はん)してうまくゆかず、戦況(せんきょう)は一進一退(いっしん)(いったい)、フィレンツェ共和国(きょうわこく)の経済不況(けいざい)(ふきょう)は深刻化(しんこくか)した。

1-6-15-5主産業(しゅ)(さんぎょう)たる毛織物業界(けおりもの)(ぎょうかい)は特(とく)に危機(きき)が深刻(しんこく)で倒産(とうさん)相次(あいつ)ぎ、農業(のうぎょう)も不作続(ふさく)(つづ)きで多(おお)くの農民(のうみん)が土地(とち)を捨(す)てて市内(しない)に流入(りゅうにゅう)、失業問題(しつぎょう)(もんだい)をいよいよ深刻(しんこく)にした。

1-6-15-6何(なん)とか息(いき)がつけるのは絹織物業(きぬ)(おりものぎょう)だけ、前(まえ)の戦争(せんそう)でピサ、リボルノの両海港都市(りょう)(かいこう)(とし)を服従(ふくじゅう)させていたおかげで海上貿易(かいじょう)(ぼうえき)はなお好調(こうちょう)を持続(じぞく)したものの、他(た)の部門(ぶもん)は軒並(のきなみ)に不況(ふきょう)の大波(おおなみ)を被(かぶ)ることになった。

引き分けに終わったルッカ戦争
1-6-15-7西暦1433年、ついに政府(せいふ)は講和(こうわ)に踏(ふ)み切(き)り、すべてを戦前(せんぜん)の状態(じょうたい)に戻(もど)すという条件(じょうけん)でルッカと和解(わかい)したが、それでは何(なん)のために戦争(せんそう)したのか分(わ)らない。

メディチ党への民衆の期待
1-6-15-8民衆(みんしゅう)だけでなく商工業者(しょうこう)(ぎょうしゃ)の間(あいだ)にも不満(ふまん)が高(たか)まり、この戦争(せんそう)に対(たい)して終始(しゅうし)批判的(ひはんてき)な態度(たいど)を取(と)ってきたメディチ党(とう)に期待(きたい)が集(あつ)まった。
 
(注釈)
18万フィオリーニとは現在の金額にして190億円。
外部リンク(謝辞):しらかわ ただひこ さんの「コインの散歩道(ヨーロッパの中世)」
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1429年 コジモ・デ・メディチが、父より受け継いだ遺産、18万フィオリーノ(190億円)
 
 
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ミチオ書・第一部・(文章)歴史物語・藤沢道郎
ページ製作者:ささくら修道会 笹倉正義
2014/9/1、2016/1/15、2017/2/19
2019/2/8
(ささくら宗)聖母マリヤ福音教会:通称:「オリジナル教会」