（１３）ベニス （１３）ベニス
| ミラノ軍再びトスカーナをうかがう 1-6-13-1折（おり）しもミラノ公国（こうこく）は、ジャンガレアッツオ死後（しご）のお家騒動（いえ）（そうどう）が落着（らくちゃく）し、フィリッポマーリアがビスコンティ家（け）領（りょう）の単独（たんどく）の支配者（しはいしゃ）としての地位（ちい）を確立（かくりつ）、再（ふたた）びトスカーナに攻（せ）め下（くだ）ろうとする勢（いきお）いを見（み）せた。1-6-13-2国内（こくない）の好景気（こうけいき）も戦雲（せんうん）迫（せま）るとともに下降（かこう）の気配（けはい）を示（しめ）し、フィレンツェの寡頭（かとう）支配体制（しはい）（たいせい）にも、内外（ないがい）から危機（きき）が忍（しの）び寄（よ）っていた。 1-6-13-3西暦１４２４年、ミラノとフィレンツェの間（あいだ）についに戦端（せんたん）が開（ひら）かれ、フィレンツェ傭兵軍（ようへい）（ぐん）は緒戦（しょせん）に敗北（はいぼく）。 ジョバンニが大使として隣国のベネチヤに出張 1-6-13-4ジョバンニ・デ・メディチは急（いそ）ぎ大使（たいし）としてベネチヤに赴（おもむ）く。1-6-13-5北東（とうほく）の雄（ゆう）ベネチア共和国（きょうわこく）との同盟（どうめい）を強（つよ）め、ミラノ軍（ぐん）の進出（しんしゅつ）を食（く）い止（と）めるためだ。1-6-13-6ビスコンティ家（け）の貪欲（どんよく）な膨張政策（ぼうちょう）（せいさく）に反発（はんぱつ）していたベネチアに異存（いぞん）はなかった。 誉れ高きベネチヤの陸軍傭兵隊長はカルマニョーラ 1-6-13-7ベネチヤ陸軍総司令（りくぐん）（そうしれい）は、最高（さいこう）の傭兵隊長（ようへい）（たいちょう）と評判（ひょうばん）高（たか）いカルマニョーラことフランチェスコ・ブッソーネ。1-6-13-8かつてミラノ公（こう）の家臣（かしん）となったことがあり、諸出（しょしゅつ：＝本妻以外の女性から生まれること）ながら公女（こうじょ）を妻（つま）に迎（むか）えていたが、ミラノ宮廷（きゅうてい）の陰険（いんけん）な雰囲気（ふんいき）に馴染（なじ）めず、妻子（さいし）を残（のこ）して逃亡（とうぼう）、もとの戦争（せんそう）請負業（うけおいぎょう）に戻（もど）った人物（じんぶつ）である。 1-6-13-9前歴（ぜんれき）が前歴だし、妻子（さいし）を人質（ひとじち）に取（と）られていることもあって、彼（かれ）はなかなか出陣（しゅつじん）したがらなかった。1-6-13-10業（ごう）を煮（に）やしたベネチア政府（せいふ）は、契約（けいやく）を守（まも）らないなら兵士（へいし）の給与（きゅうよ）を払（はら）わないと通告（つうこく）、カルマニョーラ将軍（しょうぐん）は意（い）を決（け）っして戦場（せんじょう）に出（で）る。 カルマニョーラがミラノ軍に大勝 1-6-13-11西暦１４２７年秋（あき）、マクロディオの野（の）でミラノ軍（ぐん）と激突（げきとつ）、カルマニョーラの大勝（たいしょう）。1-6-13-12捕虜（ほりょ）となったミラノ兵（へい）一万（いちまん）、ビスコンティ家（け）の紋章（もんしょう）入（い）りの軍旗（ぐんき）も分捕（ぶんど）られ、捕獲兵器（ほかく）（へいき）はベネチア陣営（じんえい）に山積（やまず）みとなった。 1-6-13-13将軍（しょうぐん）はその夜（よ）のうちに捕虜（ほりょ）を全員釈放（ぜんいん）（しゃくほう）して凱旋（がいせん）、狂喜（きょうき）したベネチア政府（せいふ）は殊勲（しゅくん）の傭兵隊長（ようへい）（たいちょう）に領地（りょうち）と邸宅（ていたく）を贈（おく）り、待遇（たいぐう）と報酬（ほうしゅう）を大幅（おおはば）アップして契約更改（けいやく）（こうかい）。 陰謀・ミラノ公からの密使 1-6-13-14だがカルマニョーラの心（こころ）は苦悩（くのう）と憂愁（ゆうりょ）に満（み）ちていた。1-6-13-15ミラノ公（こう）から何度（なんど）も密書（みっしょ）が来（き）て、彼（かれ）の愛（あい）する妻子（さいし）の消息（しょうそく）を述（の）べ、公国（こうこく）への復帰（ふっき）を勧（すす）めていた。1-6-13-16華（はな）やかな勝利（しょうり）の宴（うたげ）の陰（かげ）に、早（はや）くも陰謀（いんぼう）と疑惑（ぎわく）が渦巻（うずま）き始（はじ）めていた。 |
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| ミチオ書・第一部・（文章）歴史物語・藤沢道郎 ページ製作者：ささくら修道会 笹倉正義 |
| 2014/9/1、2016/1/14、2017/2/19 2019/2/6 （ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：通称：「オリジナル教会」 |