（１）ナポリ （１）ナポリ
| ジョバンニの 1-5-1-1西暦１２５０年に、皇帝フェデリーコが失意（しつい）のうちに世を去ってから八十年経（た）った。1-5-1-2西暦１３３０年、ナポリは王国（おうこく）の首都となり、フランス・アンジュー家（け）の宮廷（きゅうてい）もここに移り、徐々（じょじょ）にそれらしい体裁（ていさい）をそなえつつあった。 1-5-1-3若いジョバンニはこの町の生まれではなかったが、南国（なんごく）の明るい陽射（ひざ）しに恵（めぐ）まれ、騒々（そうぞう）しくて陽気（ようき）で色彩（しきさい）豊かなナポリとその住民が、すっかり気に入っていた。1-5-1-4その上、貴族（きぞく）でもないのに、ロベルト王の宮廷に出入りも許され、この国の上流（じょうりゅう）階級（かいきゅう）の一員（いちいん）としての資格を認められていたのだから、ここが気に入らないはずがないのだ。 1-5-1-5彼の父は商人（しょうにん）で、フィレンツェでは一、二（いちに）を争（あらそ）う大銀行バルディ商会と密接（みっせつ）なつながりがあった。1-5-1-6ナポリ王国の財政（ざいせい）はフィレンツェの諸（しょ）大銀行に負（お）うところが大きかったから、その関係の有力者（ゆうりょくしゃ）の息子（むすこ）とあれば、まだ二十歳（はたち）になるかならぬかのこんな若僧（わかぞう）でも、一通（ひととお）りの待遇（たいぐう）を受けることができたのである。 ---ジョバンニという名前は、口語訳聖書では、洗礼者ヨハネまたは十二使徒ヨハネのことである。 |
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| ミチオ書・第一部・（文章）歴史物語・藤沢道郎 ページ製作者：ささくら修道会 笹倉正義 |
| 2014/9/1、2017/2/17、2019/1/9 （ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：通称：「オリジナル教会」 |