（１２）神を信じぬ者

フェデリーコ、何と先進的な宗教観 1-4-12-1こんなフェデリーコを教皇（きょうこう）は「神（かみ）を信（しん）じぬ者（もの）」と決（き）めつけ、反（はん）キリストと罵（ののし）った。1-4-12-2この皇帝（こうてい）が本当（ほんとう）に神（かみ）を信（しん）じていなかったかどうかは分（わ）からないが、もし信（しん）じていたとしても、聖（せい）フランチェスコの考（かんが）えていたような神（かみ）でなかったことは確実（かくじつ）である。1-4-12-3宗教（しゅうきょう）は彼（かれ）にとっては「統治（とうち）の具（ぐ）」でしかなかった。 シチリヤ王国での信仰の自由と厳禁事項 1-4-12-4彼（かれ）の王国（おうこく）では、ギリシャ正教（せいきょう：＝これは後々の呼称：＝東都の首都コンスタンティノーブルがトルコによって陥落させられると、東方教会ではまずいので、どれとも名乗らなかった。ギリシャ正教を名乗ったのは、オスマン・トルコが弱体した時代に入って、ギリシャの民族意識が高まり、独立して後のことだ。教会組織に「ギリシャ」を冠したことで、ギリシャ人を取り込む民族宗教が明確になった）やイスラム教（きょう）やユダヤ教（きょう）も一定（いってい）の制限付（せいげんつ）きで信仰（しんこう）を許（ゆる）されていたが、カトリック教徒（きょうと）がこれらの異教（いきょう）に改宗（かいしゅう）することは厳禁（げんきん）されたし、カトリックの異端者（いたんしゃ）は徹底的（てっていてき）に迫害（はくがい）された。 宗教紛争は有害の何ものでもない 1-4-12-5それは彼（かれ）がカトリック信仰（しんこう）を重（おも）んじていたからではなく、宗教紛争（しゅきょう）（ふんそう）を国家（こっか）にとって最（もっと）も有害（ゆうがい）な無秩序（むちつじょ）の要因（よういん）と考（かんが）えていたからである。 皇帝と教皇の一致点 1-4-12-6だから、この皇帝（こうてい）とカトリック教皇庁（きょうこうちょう）とは、異端迫害（いたん）（はくがい）という一点（いってん）では期（き）せずして一致（いっち）したのである。1-4-12-7フェデリーコは異端審問所設立（いたん）（しんもんしょ）（せつりつ）に反対（はんたい）せぬばかりか、その常設化（じょうせつ）（か）と異端取締（いたん）（とりしま）りの強化（きょうか）を教皇庁（きょうこうちょう）に勧告（かんこく）した。

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ミチオ書・第一部・（文章）歴史物語・藤沢道郎 ページ製作者：ささくら修道会　笹倉正義

2014/11/10、 2017/2/16、2019/01/03 （ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：通称：「オリジナル教会」