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| ミチオ書第二部「教皇名一覧」 |
| ハインリヒ三世の急死の 1-2-6-1翌1056年皇帝ハインリヒ三世急逝（きゅうせい）、状況は一変した。1-2-6-2太子（たいし）はまだ六歳の幼児、組織力より個人の声望力量に頼る中世（ちゅうせい）のことだから、すべてがもとの木阿弥（もくあみ）となった。1-2-6-3この機を逃がす髭（ひげ）の殿様ではない。 1-2-6-4たちまちドイツへ駆けつけ、新帝に臣従（しんじゅう）を誓う代償としてトスカーナとロレーヌの領有権を承認させ、妻子を救出して急遽（きゅうきょ）イタリヤへ戻り、皇帝直轄都市とするとのお墨付（すみつ）きを貰（もら）って喜んでいたフィレンツェ市民に襲いかかって厳しい懲罰（ちょうばつ）を加え、己（おのれ）の代官（だいかん）支配に戻したのを皮切りに、再びイタリヤの王者たらんとする野望を実行に移し始めた。 ステファヌス九世 1-2-6-5皇帝に続いて教皇が没すると、ゴッフレードは実兄（じっけい）を新教皇に擁立（ようりつ）、武力でローマを威圧し、ステファヌス九世として教皇座に就（つ）ける。1-2-6-6この教皇を皇帝と張り合わせ、この教皇の手でイタリヤ王戴冠（たいかん）を実現しようという意図は見え見えだったが、世の中何が起こるか分からぬもの、在位一年にして新教皇が死に、野望は水泡（すいほう）に帰した。1-2-6-7懲（こ）りない髭の殿様はその後も策謀を繰り返すがものにならず、その間にドイツの新帝ハインリヒ四世は着実に成人し、皇帝としての実力を備えつつあった。 グレゴリウス六世の 1-2-6-8西暦1069年ゴッフレード没（ぼつ）。1-2-6-9再び寡婦（かふ）となったベアトリーチェには力強い後楯（うしろだて）があり、三人目の夫を探すには及ばなかった。1-2-6-10すなわち教皇庁最大の実力者イルデブランド。1-2-6-11背丈（せたけ）低く貧弱な体格で容貌（ようぼう）もさえないこの修道士（しゅうどうし）は、トスカーナの寒村（かんそん）の貧家（ひんか）に生まれ、幼くしてベネディクト修道会に入り、刻苦（こっく）精励（せいれい）して頭角（とうかく）を現し、教皇グレゴリウス六世の側近（そっきん）に仕えることとなり、聖界（せいかい）刷新（さっしん）、教会改革に情熱を燃やした。 イルデブランドは同郷トスカーナの人 1-2-6-12ところが、ローマ貴族の党派抗争（こうそう）に巻き込まれてこの教皇が廃位追放されたから、若いイルデブランドに受難の時期が訪（おとず）れた。1-2-6-13ドイツからフランスへと遍歴（へんれき）を重ね、最後は改革派の拠点（きょてん）クリュニー修道院に落ち着いたようである。1-2-6-14西暦1049年、クリュニー派の司教エギスハイム・ダグスブルクが教皇に選ばれ、ローマに旅立った時、扈中（こじゅう：＝身分の高い人の供をすること）の列（れつ）にイルデブランドの姿があった。 レオ九世の 1-2-6-15司教は無事就位（しゅうい）してレオ九世となり、イルデブランドはその懐刀（ふところ）（がたな）として教皇庁の政務を切り回すこととなった。 イルデブランドの仕事ぶり 1-2-6-16その後二十五年にわたって八人の教皇に仕え、東方教会（とうほうきょうかい：＝東ローマ帝国のコンスタンティノーブル教会）との分裂、教皇選挙会の設立、ノルマン軍団との和平、聖職者妻帯の禁止等（など）、カトリック教会のこの時期の重要施策（せさく）のすべてに関与して決定的な役割を果し、バチカンの真の首長（しゅちょう）が彼であることは、衆目（しゅうもく）の一致するところだ。 −−−西方教会（ローマ）は歴史の荒波にもまれながらもその存立を確立していったが、東方教会は皇帝の御用教会として平和を謳歌していた。妻帯禁止なんてとんでもない。だが、妻帯禁止が嫌だからというのでは世間体が悪い、そこで、自分たちはイコン（聖画）だが、奴らは聖人像を造って信徒に偶像を拝ませている、そんな奴らと同等だと思われるのは我慢ならん、ということにしよう。しかし、分裂理由が「妻帯禁止」それであることはあきらかだ。彼らの聖職は、ユダヤ人の聖職者の一族レビ人の棟梁アロン家同様、世襲だ。 受難期のイルデブランドと伯妃ベアトリーチェ 1-2-6-17彼はその受難期に、改革派の運動のためにフィレンツェに来て、伯妃（はくひ）ベアトリーチェの厚い庇護（ひご）を受けたことがあり、その恩義を深く感じていたから、再び寡婦（かふ）となったベアトリーチェとその娘マティルデに力を貸すことを厭（いと）わなかった。 |
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| 文番号の採番方法（二分冊の文番号をユニークにする） （本１、２）−（物語番号１−１８）−（章）−文番号 |
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| ミチオ書・第一部・（文章）歴史物語・藤沢道郎 ページ製作者：ささくら修道会 笹倉正義 |
| 2014/9/14、2017/2/13、2018/12/14、2021/2/16 （ささくら宗）聖母マリヤ福音教会：通称：「オリジナル教会」 |