９．荒野の声、洗礼者ヨハネ ９．荒野の声、洗礼者ヨハネ
| 3-1皇帝テベリオ在位の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟ピリポがイツリヤ・テラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、3-2アンナスとカヤパとが大祭司であったとき、神の言が荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。3-3彼はヨルダンのほとりの全地方に行って、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えた。
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3-4それは、預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。すなわち 「荒野で呼ばわる者の声がする、 『主の道を備えよ、 その道筋をまっすぐにせよ』。 3-5すべての谷は埋められ、 すべての山と丘とは、平らにされ、 曲がったところはまっすぐに、 わるい道はならされ、 3-6人はみな神の救いを見るであろう」。 3-7さて、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出てきた群衆にむかって言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、のがれられると、おまえたちにだれが教えたのか。3-8だから、悔改めにふさわしい実を結べ。自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく。神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。3-9斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ」。 3-10そこで群衆が彼に、「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」と尋ねた。3-11彼は答えて言った、「下着を二枚もっている者は、持たない者に分けてやりなさい。食物を持っている者も同様にしなさい」。3-12取税人もバプテスマを受けにきて、彼に言った、「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。3-13彼らに言った、「きまっているもの以上に取り立ててはいけない」。3-14兵卒たちもたずねて言った、「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は言った、「人をおどかしたり、だまし取とったりしてはいけない。自分の給与で満足していなさい」。 ---この兵卒は、ヘロデ王などの兵卒のこと。ローマ軍の兵隊ではない。 3-15民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。3-16そこでヨハネはみんなの者にむかって言った、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けているが、わたしより力のある方が、おいでになる。わたしには、そのくつのひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。3-17また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てられるであろう」。 3-18こうしてヨハネはほかにもなお、さまざまの勧めをして、民衆に教えを説いた。3-19ところが領主ヘロデは、兄弟の妻ヘロデヤのことで、また自分がしたあらゆる悪事について、ヨハネから非難されていたので、3-20彼を獄に閉じ込めて、いろいろな悪事の上に、もう一つこの悪事を重ねた。 |
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| １．荒野の修行者ではあるが、神官としての社会的地位は、ヨハネはイエスよりも圧倒的に高い。母はアロン家の娘の一人であるし、父は司祭であった。将来は、約束されていたのである。ヨハネは、ただ人々に洗礼を授けたばかりではなく、ヨルダン川の地方を歴訪して、「神に立ちかえる」教を説いたのである。洗礼は、罪を洗って神に立ちかえる手段として説かれたのである。ユダヤ全土にその名声がとどろき、最高法院が放置できないほどの存在になるには、何年もかかったはずである。 ２．しかし、彼はガリラヤの領主ヘロデに、不敬罪で逮捕されてしまうのである。これは、最高法院にとっては好都合であり、願ってもないことであった。しかし、ヘロデは彼をすぐには処刑しなかった。それは、彼がヨハネを憎んでいたわけではなく、治安上の問題があったからである。 |