（４）家庭教師

4-1明らかにこれは事実無根である。4-2また諸君が誰かの口から、4-3私が自ら僭（せん）して人を教育すると称し、4-4しかもこれに対して謝礼を要求すると聞かれたならばそれもまた同じく真実ではない。4-5もっとも人が他を教育する能力を持っているならば、4-6謝礼を受けるのは結構なことと自分にも思われる。 4-7例（たと）えばレオンティノイ人ゴルギヤスやケオス人プロディコスやエリス人ヒッピヤスがそれである。4-8諸君、これらの人はいずれもその好むところの都市に行って、4-9そこの青年を捉（とら）え、4-10もともとその同市民の誰とでも欲するがままに無報酬で交わることのできる彼らを説得して、4-11その同市民との交際を捨て、4-12報酬を払って己（おのれ）に来たらしめ、4-13しかもさらにこれを感謝させることが出来るほどの技量を持っているのである。 4-14他にも一人の賢人が、一人のパロス人が、当市にもいるということである。4-15私は彼がここに滞留しているという話をきいた。4-16その次第はこうである−−−4-17私は偶然、他のあらゆる人が払った総額よりも以上の報酬をソフィスト達に払ったという一人の男に出会った。 （ソフィスト）Wikipedia ソフィストは、ペルシア戦争（紀元前492年 - 紀元前449年）後からペロポネソス戦争（紀元前431年 - 紀元前404年）ごろまで、主にギリシアのアテナイを中心に活動した、金銭を受け取って徳を教えるとされた弁論家・教育家。 4-18それはヒッポニコスの子カリヤスである。4-19彼は−−−二人の息子を持っていたので−−−4-20私は彼にこうたずねた−−−4-21「カリヤス君、もし君の二人の息子が仔馬（こうま）か仔牛だったら、4-22彼らにふさわしい徳を立派に良く仕付け込むことが出来るような監督者を選んでこれを傭い入れることが出来ただろう、4-23そうしてそれは調馬師とか農業家とかいうべきものであるべき筈だった。 4-24ところが君の息子は人間だ、4-25君は彼らのためにどんな監督者を選ぶつもりなのか。4-26この種の徳（アレテー）を−−−人間としてまた市民としての徳を−−−4-27知っている者は誰だろう。4-28君は二人の息子の父親だから、4-29きっとこの事を考えたことがあるだろうと僕は思うが、4-30適任者があったかね。」−−−4-31「あったとも」と彼は答えた。 −−−4-32「それは誰でどこから来た人なのだ。4-33そしてその人の授業料はいくらだね」と私はたずねた。4-34−−−「ソクラテス君、エゥエノスというパロス人で、4-35５ムナなのさ」と彼はいった。 −−−4-36そこで私はこのエゥエノスを幸福だと思った。4-37もし彼が実際かくの如き術を解し、4-38こんなに巧妙な教授をすることが出来るとすれば。4-39もし自分がその術を解していたとすれば、4-40私自身は自ら高しとし自ら誇るであろう。4-41しかしアテナイ人諸君、私はそれを解しないのである。

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2014/10/16 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会