（３１）無罪投票者への謝辞

31-1しかし無罪投票をしてくれた諸君とは、31-2ここで起った事柄について、私はもっと話をしたい、31-3係の法官にはまだ用務があり、31-4そうして私はまだ死が私を待っているところへ行かなくてもいい間だけ。31-5で、諸君なにとぞその間だけ私と一緒にいていただきたい。31-6許された時間中雑談するのは少しもさしつかえないのだから。31-7実際私は私の友人である諸君に、31-8今私の身に降りかかった事件の真の意義を闡明（せんめい：不明瞭であったことを，はっきりさせること）したいと思う。 31-9というのは、裁判官諸君−−−31-10けだし諸君を裁判官と呼ぶのは正当なことだろうと思う−−−31-11私の身の上に、実に不思議なっことが起ったのである。31-12すなわち私の聴き慣れた［神霊の声の］予言的警告は、31-13私の生涯を通じて今に至るまで常に幾度も幾度もきこえて来て、31-14特に私が何か曲ったことをしようとする時には、31-15それがきわめて瑣細（ささい：小さくわずかで取るに足りないさま）な事柄であっても、31-16いつも私を諌止（かんし：いさめて思いとどまらせること）するのだった。 31-17しかるに今度、諸君自身も御覧の通り、31-18人が最大の禍（わざわい）と考えそうなことでまた実際一般にそう見做（みな）されていることが私の身に降りかかって来た。31-19それだのに私が今朝（けさ）家から出て来る時にも、31-20この法廷に来る途中にも、31-21また弁論にあたって何かを言おうとしている際にも、31-22私は神からの警告の徴（しるし）に接したことがなかったのである。 31-23が、しかし他の場合には、それは幾度も、語っている最中に、私を阻止したのであった。31-24しかるに今日（きょう）のこの事件においては私が何をしても何を言っても、それは一度も私を諫止（かんし）したことがなかったのである。31-25では私は何をその理由と考えているか。31-26それを諸君に話そう。31-27今私の身に降りかかったことはきっと善い事であると思われる、31-28それで私達の中で死を禍（わざわい）であると信ずる者は皆たしかに間違っているといわねばならぬ。 31-29この事については、私は有力な証拠を持っている。31-30私の出逢おうとしているものが幸福なものでなかったならば、31-31例の警告の徴（しるし）が私を諫止しないわけは決してないのである。

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2014/10/20 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会