（３０）有罪投票者に一言

30-1さて、私を有罪と断じたる諸君よ、30-2私は諸君に向ってこの後に起るべき事について予言しておきたい、30-3何となれば私の死期は迫っているのであるが、30-4それは人が最も多く予言力を発揮する時であるからである。 ---宗教的なもので、神の言葉を預る者は、預言者と書く。予言は、神ではなく、人が未来について空想したものを言葉にしたものである。 30-5私に死を課したる諸君よ、30-6私は敢えて諸君に言う、30-7私の死後直ちに、諸君が私に課したる死刑よりも、30-8ゼウスにかけて、さらに遥かに重き罰が、諸君の上に来るであろう。30-9今諸君が、この行動に出たのは、30-10そうすれば諸君はもはや諸君の生活について弁明を求められなくなるであろうと思ったかからである。30-11しかし私は主張する。30-12諸君には全然反対の結果が生ずるであろう、と。30-13今よりもさらに多くの問責者が諸君の前に出現するであろう。30-14諸君は気付かなかったが、これまでは私が彼らをこ阻（はば）んでいたのである。 ---プラトンが、自分のことを代弁させているのかも知れない。この書は、まさにそのために書かれているのだから。 30-15そうして彼らは若いだけにいっそう峻烈（しゅんれつ）であり、諸君はいっそう深くこれに悩まされるであろう。30-16けだし、諸君にしてもし人々を殺すことによって、30-17諸君の正しからざる生活に対する世人の批議を、30-18阻止（そし）し得ると思うならば、諸君は誤っている。30-19思うに、この遁げ方は、成功もむずかしくかつ立派でもない。 30-20最も立派で最も容易なのは、30-21他を圧伏することではなくて、30-22出来得るかぎり善くなるように自ら心掛けることである。30-23これだけの事を私を有罪と断じたる諸君に予言して、私は諸君に別れを告げる。

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2014/10/20 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会