（３）訴状のこと

3-1私達は先ず、出発点に帰り、3-2そうして私に対する悪評を喚起せる罪状−−−3-3メレトスもまた確かにこれを信じて私に対する訴訟を提起するに至ったところのもの---3-4は何であるかを問うことにしよう。3-5それでは私の誹謗者（ひぼうしゃ）らが誹謗するところは何であるか。3-6私達は先ず、彼らを普通の告発者と見なして、3-7彼らの訴状を読みあげなければならぬ。 3-8曰（いわ）く、「ソクラテスは不正を行い、3-9また無益なことに従事する、3-10彼は地下ならびに天上の事象を探求し、3-11悪事をまげて善事となし、3-12かつ他人にもこれらの事を教授するが故（ゆえ）に」。 3-13彼らのいうところはほぼかくの如きものである。3-14実際それは諸君自身もアリストファネスの喜劇において親しく見聞せられたに違いない。3-15そこではソクラテスなる男が舞台を歩き廻って、3-16あるいは空中を飛行し得ると自称し、3-17あるいは、多くといわず少なくといわず徹頭徹尾私の理解せざる事物について外にも多くの妄語を奔するするのである。3-18もとより私がこういうのは、3-19仮にこの種の事象に通暁（つうぎょう：すみずみまで知ること）せる人がありとすれば、3-20そういう知識を軽蔑するためではない。 3-21私はただメレトスからかくも重き罪状に問われることを心外とするのである。3-22アテナイ人諸君、この種のことは私の全然関知しないところである。3-23その証人として私は諸君自身のうちの大多数を挙げる、3-24そうしてかつて私の対話を傍聴したことのある諸君は−−−3-25そういう人が諸君の中に沢山あるはずである−−−3-26互いに語り合い告げ合われんことをお願いする。 3-27すなわち諸君の中の一人でも、3-28それが簡単であれ詳細であれ、3-29私がかつてこの種の事物について語るのを聴いたことがあるかどうか、3-30諸君において互いに語り合われよ。3-31しからば諸君は、衆人が私についてする爾余（じよ：それ以外。そのほか）の噂もまた同様のものであることを悟られるであろう。

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2014/10/15　（笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会