（２８）罰金３０ムナの友情

28-1ここにおいて、恐らくこういう人があるかも知れない。28-2「ソクラテスよ、君はここを立退（たちの）いてから、沈黙して静かな生活を送ることは出来ないのか」、と。28-3これこそ諸君のうちのある人を納得させるに何よりも困難な点である。28-4すなわちもし私が、それは神命に背くことに外ならない、28-5またそれ故にじっとしていることは私にとって不可能である、というならば、28-6諸君は私を真面目でないとしてそれを信じないであろう。 28-7もしまた私が、人間の最大幸福は日毎（ひごと）に徳について、28-8ならびに、私が自他を吟味する際それに触れるのを諸君が聴かれたような諸他の事柄について語ることがあって、28-9魂の探求なき生活は人間にとり生甲斐なきものである、28-10というならば、私の言葉はいっそう受取り難いであろう。28-11諸君、それにもかかわらず、それは私のいう通りなのである。28-12ただしかしそれを諸君に信じさせることが容易でないのである。28-13その上に私は、自ら何らかの罰に値する者であるなどと考えることには慣れていない。 28-14もっとももし私に金があったならば、私は自分が支払い得るかぎり罰金は提議するであろう。28-15それは私に何の害をも及ぼすまいから。28-16ところが私は一文無（いちもんな）しである。28-17もし諸君が、私にも払い得る位の額にきめてくれるならば格別だが。28-18多分私も銀一ムナ位ならば払うことが出来るであろう。28-19だから私はそれだけの課金を提議する。 28-20ところが、アテナイ人諸君、ここにいるプラトンやクリトンやクリトブロスやアポロドロスは、28-21罰金三十ムナを提議せよと私に勧告する、28-22そうして彼らはその保証人に立とうという。28-23だから私はそれだけの金額を提議する。28-24しかもこの金額に対してはこれらの人達は、28-25諸君にとって、これだけの金に対する信用するに足る保証人であるであろう。

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2014/10/20 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会