（２６）迎賓館での饗応

26-1この人は私を死刑に処することを提議する。26-2よろしい。しからば私は、アテナイ人諸君、これに対して何を提議すべきであるか。26-3明らかにそれは私が当然受くべきものではあるまいか。26-4ではそれは何であろう。 26-5一生ただ安穏（あんのん）に暮そうなどとは思ったこともなく、26-6がまた、蓄財や家事や軍隊の指揮や公の演説やその他の公職や、26-7国内に存する徒党や党派や、26-8これら大多数の人が念頭に置く一切のものには無頓着であった為に、26-9私の当然受くべきはいかなる体制もしくは罰金刑であるか。 26-10けだし私は、身をそこに投じて、しかも身を全うするには、26-11実際あまりに正しきに過ぎると信じたが故に、26-12そこでは私が諸君にも私自身にも何らかの福利をももたらし得そうにもないところに身を投ずることをしなかったのである。26-13私はむしろ私のいわゆる最大善行を何人（なにびと）にも親しく個人的に行うことの出来る方面におもむいた。 26-14すなわち私は、自ら出来得るかぎり善良かつ賢明になるように、26-15まず自分自身のことを顧慮する前に、26-16自分に属する事がらを顧慮しないように、26-17また、国家そのもののために顧慮する前に、26-18国家に属する事柄を顧慮しないように、26-19その他一切の場合にもこの順序に従って物事を顧慮するように、26-20諸君のうちの何人をも説得することに努めて来たのである。 26-21しからば、かくの如き人間であるがために私が当然受くべきものは何であるか。26-22それは何か良きものである、26-23アテナイ人諸君よ、いやしくも賞罰が真に当然の評定を受くべきであるならば、26-24しかもそれは何か私にふさわしき良きものでなければならない。 26-25しからば、諸君に忠告を与えるために閑暇を必要とする一人の貧しき功労者に、26-26ふさわしきものとは何であろうか。26-27アテナイ人諸君、かくの如き人には、プリュタネイオンにおいて食事をさせる以上にふさわしいことがないのである。26-28少なくともそれは諸君の一人が、或いは乗馬により、或いは二頭もしくは四頭立（よんとうだて）の馬車によって、26-29オリュンピヤの競技に勝利を得た場合よりも遥かにふさわしい。 26-30何となれば、彼は諸君を幸福であると見えるようにするだけであるが、26-31私はそうあるようにさせるのだからである。26-32また彼には給食の必要がないが、26-33私にはその必要があるからである。 26-34されば、もし私が、正しきに従って私が当然受くべきものを提議すべきであるならば、私はこれを提議する、26-35すなわちプリュタネイオンにおける食事を。

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2014/10/20 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会