（１９）脱世俗の権力闘争

19-1私がただ巡回しつつ個人的にかかる忠告を与えてそれで忙しがっているのみで、19-2敢えて公に多数諸君の前に出て国家に貢献しないのを、19-3不思議に思う人もまた恐らくあるであろう。19-4しかしその理由は、諸君がすでに幾度か、19-5至る所において、私の口から聴いたところである。 19-6それはすなわち私には一種の神的で超自然的（ダイモニオン）な徴（しるし）［声］が現れることがあるということである。19-7しかしそれは実にメレトスもまたその訴状の中に嘲笑（ちょうしょう）的に言及しているところなのである。19-8これはすでに私の幼年時代に始まったもので、19-9衷（うち）に一種の声が聴こえて来るのである。19-10そうしてそれがきこえるときには、19-11それはいつも私の為さんとするところを諫止（かんし：いさめて思いとどまらせること）するが、19-12決して催進することをしない。19-13これこそ私が政治に携わることに抗議するものなのである。 19-14しかもこの抗議はしごく当を得ていると思う。19-15というのは、アテナイ人諸君、私は諸君に断言する。19-16私にして若しつとに政治に携わっていたならば、19-17私はもうとくに生命（いのち）を失ってしまっていて、19-18諸君のためにも私自身のためにも名の裨益（ひえき：役に立つこと）するところもなかったに違いないからである、19-19今私が真実を語っても怒らないように願いたい。 19-20諸君に対し、または他の民衆に対し敢然（かんぜん：危険や困難を恐れず思いきって行動すること）抗争して、19-21国家に行われる多くの不正と不法とを阻止（そし）せんとする者は、19-22何人といえどもその生命を全くすることが出来ないであろう、19-23むしろ、本当に正義のために戦わんと欲する者は、19-24もし彼がたとえしばらくの間でも生きていようと思うならば、19-25かならず私人として生活すべきであって、19-26公人（こうじん）として活動すべきではないのである。

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2014/10/19 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会