３７（１１）ギャロップ夢(ゆめ)の続(つづ)き

3-37-11-1二人が舞踏室（ぶとうしつ）にはいったときには、アルベールの時計でちょうど二時（にじ＝真夜中）になっていた。3-37-11-2二人の帰って来たことは、まったく一つの「出来事（できごと）」だった。3-37-11-3だが、二人がいっしょにはいってきたので、いままでアルベールについていだかれていた不安はたちまちにして影をひそめた。3-37-11-4「奥さま、」と、アルベールは（G)伯爵夫人の方（ほう）へ近づきながら言った。 3-37-11-5「昨日（きのう）、ギャロップを踊（おど）ってやろうとおっしゃいました。3-37-11-6そのお御親切（ごしんせつ）なお約束（やくそく）をお願（ねが）いするために、少し遅刻（ちこく）いたしました。3-37-11-7しかし、ここに友人がおります、嘘（うそ）を言わないことにかけては、御存じのとおりの男です。3-37-11-8遅刻がわたくしのせいでなかったことを保証（ほしょう）いたしてくれましょう」。 3-37-11-9ちょうどそのとき、音楽（おんがく）はワルツの合図（あいず）をした。3-37-11-10アルベールは、腕（うで）を（G)伯爵夫人の腰（こし）にまわして、夫人とともに踊り手の渦（うず）の中に姿（すがた）を消（け）した。3-37-11-11そのあいだ、フランツは、モンテ・クリスト伯爵がしぶしぶアルベールに手を差出（さしだ）したとき、その全身（ぜんしん）を走（はし）ったふしぎな身ぶるいのことを考えていった。

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ページ制作者：（ささくら宗）聖母マリヤ福音教会
通称「オリジナル教会」　初代代表者　笹倉正義
オリジナル教会・ささくら修道会・必読書
2017/5/23