（２）哲学者の （２）哲学者の
| 2-1ローマ劫掠（ごうりゃく）の凄（すさ）まじさにも現れていたように、2-2新教（反カトリック）の側も残酷（ざんこく）さでは負けていなかった。2-3血液の循環（じゅんかん）を証明して2-4医学的に名を残したミゲル・セルベートの処刑は2-5その一例（いちれい）である。2-6セルベートはスペインの神学者だが、2-7どんな権威にもとらわれず2-8自己の理性だけを信ずるルネサンス人だったから、2-9三位一体（さんみ・いったい）とか処女（しょじょ：女性器内に挿入された男性器による射精を経験していない女性）懐胎（かいたい：こどもを胎内に宿すこと）などの2-10神秘的なキリスト教の信条を嘲笑（ちょうしょう）し、2-11新旧（しんきゅう）両教からともに異端視された。 2-12ジュネーブの政権を握り、2-13この町に神政を布（し）いてきた新教指導者カルバンは、2-14特にこのセルベートを憎み、2-15「ジュネーブに来たら生きては帰さない」と宣言していた。2-16セルベートはリヨンでカトリック側の異端者（いたんしゃ）審問所（しんもんしょ）に捕（とら）まり、2-17無知な審問官を何とか欺（あざむ）いて逃（のが）れようとした。2-18これを知ったカルバンは、2-19自分に宛（あ）てたセルベートの手紙を異端審問所に送り、2-20動かぬ証拠を突きつけさせた。2-21審問官は新教指導者と文通していたという事実だけで2-22被告に死刑宣告を下すことができたが、2-23セルベートはうまく脱出に成功、2-24無謀にもジュネーブに姿を現した。 2-25もちろんカルバンはすぐに彼を逮捕し、2-26裁判にかけた。2-27ジュネーブの法律では、2-28旅行者に対する処罰は市外追放に限られていたし、2-29セルベートはたぶんそれを当てにしていたのだろうが、2-30カルバンはこのけしからぬ異端者を2-31何が何でも殺してしまうつもりだった。2-32裁判は告発者と被告との間の猛烈（もうれつ）な論争になり、2-33ジュネーブの反カルバン派は勢いづいて被告に声援を送った。 2-34どう見ても死刑は無理だというのが他の指導者の意見だったが、2-35カルバンは強引（ごういん）に自己（じこ）の意見を押し通し、2-36西暦１５３３年、2-37ついに法廷は火刑の判決を下した。2-38その処刑に反対して無罪釈放を要求したイタリヤ人亡命者も告訴（こくそ）され、2-39一人は死刑、2-40他の二人は追放となった。2-41セルベートは最後まで転向を拒否（きょひ）して生きながら焼かれた。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/2/10 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/21 |