（９） （９）
| 9-1新教皇は辣腕（らつわん）の政治家だったが、9-2宗教人の徳性という面では遺憾（いかん）の点が多く、9-3愛人（あいじん）を囲い子をもうけているのは公然の秘密、9-4臆面もなく親類縁者を引き立てて教会の要職に就け、9-5政敵を倒すためには手段を選ばず、9-6「ボルジア家の毒薬」の噂（うわさ）が戦慄（せんりつ）を込めて流布（るふ）され、9-7教皇選挙でただ一人反対票を投じたデラ・ローベレ枢機卿は、9-8暗殺を恐れてフランスへ逃れた。9-9この教皇選挙は、9-10長い教会の歴史の中でもひときわ目立つ金権選挙で、9-11ボルジアは金と利権をふんだんにばらまき、9-12対立候補と目（もく）されたミラノの枢機卿スフォルツアの自宅には、9-13金貨の詰った袋がいくつも驢馬（ロバ）に乗せて運ばれたという。 9-14そのミラノではこの年、9-15サンタ・マリヤ・デレ・グラツイエ聖堂の円蓋（えんがい）と聖歌隊席が新進の建築家ブラマンテの設計で完成され、9-16巨費を投じた改修工事が終了した。9-17施工者（せこうしゃ）の能力不足のため設計者の意図（いと）が完全に実現したとはいえないが、9-18調和と均衡の理想を具現したこの作品は、9-19ゴシックの牙城（がじょう）であったミラノでもついにルネサンス様式が勝利したことの明白な証（あかし）となり、9-20またその調和と均衡の自然性＝有機性は、9-21同じ頃ミラノにいたレオナルドの芸術と一脈（いちみゃく）通じる味わいがあり、9-22ルネサンス美術の新段階を切り開こうとする意欲を感じさせた。 9-23そして三年後、9-24この聖堂に付属する修道院大食堂正面の壁に、9-25レオナルドの野心作「最後の晩餐」が描かれることになる。9-26だが、これらすべてよりミケランジェロにとってずっと重要な事件がフィレンツェで起こっていた。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2016/1/24 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/19 |