（２９）ビットリア・コロンナ

29-1彼のその心の底を理解したのは意外にも一人の女性であった。29-2ペスカーラ侯妃ビットリア・コロンナ。29-3ミケランジェロは老境に入って初めて、29-4自分の傷だらけの心を理解してくれる他人にめぐり合ったのだ。29-5ビットリアは宗教改革に強く魅（ひ）かれ、29-6その運動にも参加していたが、29-7激しいカトリック攻勢の前に転向し、29-8同志を裏切った過去を持つ。29-9だから、彼女の心も血を流し、29-10彼女の魂も孤独であり、29-11それゆえにミケランジェロの苦悩をも理解したのであろう。 29-12そのビットリアも１５４７年に世を去り、29-13七十歳を越えたミケランジェロは悲嘆を紛らすために仕事に集中して、29-14なお十数年労働を続けた。29-15死ぬ間際（まぎわ）までピエタ像を彫っていたが、29-16この時にはもう、29-17大理石の中に閉じ込められて「開放を待っている人」のイメージが彼には見えていなかったのである。29-18現在ミラノのスフォルツア城博物館にある「ロンダニーニのピエタ」を見れば、29-19それが分る。(29-20)１５６４年２月１８日、29-21美術史上最高の天才の一人ミケランジェロ・ブオナルローティは、29-22八十九年の苦悩と労働の生涯を終えた。

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謝辞ミチオ・自己研鑽資料

2016/2/3-4 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」 2017/2/20