（２１）カラーラ採石場(さいせきじょう)

21-1ローマの変化はフィレンツェ政府を勇気づけた。21-2親仏（意味：フランスに親交がある）政策を取る共和国にとっては、21-3同じくフランスに親しいユリウスの教皇就位は、21-4南からの脅威の減少を意味する。21-5念願のピサ奪回は現実味（げんじつみ）を帯びてきた。 21-6マキアベリは徴兵制（ちょうへいせい）実施のために寝食（しんしょく）を忘れて奔走した。 五百人広場の壁画 21-7政府は、戦意高揚のために美術を動員しようと考えた。21-8折から新装なった政庁舎・大会議室（現在はベッキオ宮殿「五百人広場」と呼ばれている）の壁に、21-9過去にフィレンツェが勝ち取った過去の戦勝の大（だい）記念画を描かせようというのだ。21-10それも一つではない、21-11二つの主題を選び、21-12それを共和国最高の美術家二人に競作させる。21-13そうすれば町中の話題をさらうこと疑いない。21-14対ピサ戦争を目前（もくぜん）にして、21-15市民の戦意高揚（こうよう）には絶好の手段ではないか。 21-16さっそく人選（じんせん）が行われ、21-17「アンギアリの戦い」がレオナルドに、21-18「カッシーナの戦い」がミケランジェロにと、21-19それぞれ指名された。21-20その後ピサはめでたく回復されたが、21-21性格も思想も全く異なる二人の大天才の対決という、21-22まことに興味（きょうみ）津々（しんしん）のこの壁画（へきが）は、21-23残念ながら完成を見なかった。21-24二つとも前代未聞（ぜんだい・みもん）の名作であったという証言と下絵の模写だけが、21-25現在残されているその対決の痕跡（こんせき）である。 21-26レオナルドは新しいフレスコ絵具の工夫（くふう）が失敗に終ると制作の意欲をなくしてしまい、21-27いつものように中断（ちゅうだん）放棄（ほうき）、21-28ミケランジェロは不慣れな絵画の仕事にいつになく意欲を燃やしていたようだが、21-29ユリウス教皇にローマへ呼び出され、21-30壁画どころではなくなったのである。 21-31ユリウスは自分の廟墓（びょうぼ）を生前（せいぜん）に建て、21-32それを壮大な記念廟（びょう）にしようと考え、21-33そのためにミケランジェロ呼んだのである。21-34教皇はこの大彫刻家の天才をすぐに認め、21-35二人は意気投合（いき・とうごう）。21-36ミケランジェロは、21-37四面から成り、21-38石像（せきぞう）銅像（どうぞう）合わせて四十体（たい）以上を林立（りんりつ）させるという、21-39途方（とほう）もないスケールの一（いち）大（だい）モニュメントを計画した。 21-40豪快な新教皇はそれがすっかり気にいり、21-41そんな大計画にどれほどの時間と費用がかかるかをよく考えないで承認した。21-42ミケランジェロは熱に浮かされたようにこの計画にのめり込み、21-43必要な石材を調達するためにカラーラへ行き、21-44採掘（さいくつ）から運搬まですべて自分で指示し、21-45いっそこの岩山（いわやま）全体（ぜんたい）をそのまま全部彫刻したいと、21-46本気で考えるほどであった。

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謝辞ミチオ・自己研鑽資料

2016/1/31 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」 2017/2/19