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| コペルニクスの時 16-1その頃、ボローニャ大学天文学教授（きょうじゅ）ドメニコ・マリア・ノバラの自宅に16-2一人（ひとり）のポーランド人（じん）留学生（りゅうがくせい）が寄宿（きしゅく）していた。16-3法学部学生で教会法を専攻し、16-4将来は聖職に進むつもりをしていた。16-5教授はこの学生がたいへん気に入って、16-6天体観測に付き合わせ、16-7天文（てんもん）と占星術（せんせい・じゅつ）に関する知識を教え、16-8観測の記録を手伝わせた。16-9品行方正（ひんこう・ほうせい）で志操（しそう）堅固なこの若者は、16-10聖職にはいるという決意を決して揺るがせはしなかったけれども、16-11天文学にも非常に魅力を感じた。16-12それが後にどんな重大な結果を生むか、16-13当時は彼自身も知らなかった。16-14この青年の名はミコワイ・コペルニク、16-15ラテン読みではニコラウス・コペルニクスといった。16-16卒業の迫った１５００年春、16-17彼は教会法の実習を受けるため、16-18ローマへ赴いた。16-19聖年祭（せいねんさい）のローマは巡礼（じゅんれい）で賑（にぎ）わっていたが、16-20彼にとってはここで月食（げっしょく）を観測できたことの方が思い出に残った。 ピエタ像 16-21そしてそのローマにミケランジェロもいた。16-22彫刻家としての名声もすでに高まりつつあった。16-23だが、彼の心が引き裂かれたままであったことは、16-24この時期の作品が示している。16-25現在サン・ピエトロ大聖堂にある「ピエタ」は彼の出世（しゅっせ）作となったが、16-26十字架から下ろされたキリストの屍（かばね）を膝（ひざ）に抱（だ）いて悲しみに耐えている聖母の心は、16-27そのまま刑死したサボナローラを悼（いた）むミケランジェロの心であるように感じられる。 16-28しかし、この直前（ちょくぜん）の作品「バッカス」（現在フィレンツェのバルジェッロ美術館蔵）は酒神の酔態（すいたい）を享楽（きょうらく）的に表現した裸像（らぞう）で、16-29メディチ文化のアモラルな快楽主義の要素を濃厚に反映しており、16-30フィレンツェで制作されていたら間違いなく「虚栄の焼却」の対象と見なされたに違いない。16-31サボナローラとメディチ家の両端の間に彼の心は動揺を続け、16-32どちらの極（きょく）に対しても強い魅力と激しい反発を等しく感じていたのである。16-33それがあのような偉大な作品を次々に生み出す原動力になったのかどうかは今問わぬとして、16-34少なくともこのように引き裂かれた心を持つ人が、16-35暗く悲しく不幸であったことは間違いない。 ろくでなし家族 16-36それに、家庭的にも幸福でなかった。16-37いくら真心（まごころ）を込めて尽（つ）しても満足せず、16-38不平と愚痴の絶え間のない父親、16-39有名人となった兄にぶらさがって安楽に暮らそうとする自立心に欠けた弟たち、16-40そんな家族を養うためにミケランジェロは、16-41新世紀とともにフィレンツェに帰らなければならなかった。 ダビンチ村のレオナルド 16-42少し前にもう一人の巨人レオナルドも帰国していた。16-43ミラノでのこの天才の活動はフィレンツェにも聞こえており、16-44彼の帰国は凱旋（がいせん）であった。16-45さっそくアヌンツイアータ聖堂の祭壇画を依頼され、16-46その「聖母子と聖アンナ」の下絵を公開展示してフィレンツェの芸術家と市民を驚嘆させた。 フレンツエ帰省 16-47ミケランジェロが帰ってきたのは、16-48ちょうどその下絵が町中の評判を集めている時だった。16-49彼は途端（とたん）に強い嫉妬（しっと）と反発（はんぱつ）を感じた。16-50レオナルドは彼より一世代（いっせだい）年長（ねんちょう）だが、16-51若い頃から評判の美男子（びなんし）で、16-52恰幅（かっぷく）もよく、16-53物腰（ものごし）も話し方も洗練された一見（いっけん）愛想（あいそう）のよい紳士（しんし）であり、16-54なかなかのお洒落（しゃれ）でもあった。16-55服装に構わず、16-56ぶっきらぼうで人付（ひとづ）き合いが悪く、16-57中肉（ちゅうにく）中背（ちゅうぜい）で容貌（ようぼう）コンプレックスに悩まされているミケランジェロとでは、16-58何から何まで対照的（たいしょう・てき）で、16-59共通しているのは両人とも女性に無縁だった点だけである。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2016/1/28 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/19 |