（１２）サン・サルバドル

12-1だが、サンタンヘルはなぜそれほどまでにコロンブスを支援する気になったのか、12-2そして、二百万マラベディという巨額の費用を、12-3どのように捻出（ねんしゅつ）するつもりだったのか。12-4この時代の財務官のほとんどが実業家（じつぎょうか）を兼ねていて、12-5サンタンヘルも営利（えいり）事業に手を出していた。12-6その資金を提供していたのがジェノバの銀行であった。12-7サンタンヘルの協力者で同僚（どうりょう）でもあったフランチェスコ・ピネッリは、12-8ジェノバの銀行家の一人だった。

12-9実際にサンタンヘルが提供したのは三十五万で、
12-10百十四万マラベディをこの銀行家が融資している。
12-11残り二十五万をその他のスペイン在住のジェノバ人金融業者が、
12-12最後の二十六万をセピーリャ在住のフィレンツェ商人ジャンノット・ベラルディが提供している。（合計２００万マラベディ）

12-13コロンブスの背後には、ジェノバの財界が控えていたのである。

12-14西暦１４９２年夏、コロンブスは勇躍（ゆうやく）してパロスの港を後にする。12-15十月十二日、カリブ海の島に上陸、12-16この島をサン・サルバドルと名付ける。12-17これがいわゆる「アメリカ発見」である。12-18この航海についても、12-19その後のコロンブスの運命についても、すでに広く知られている。12-20ともすれば恐怖と不安のとりこになる船員たちを叱咤（しった）激励（げきれい）して、12-21未知（みち）の大洋を横切ったコロンブスの不撓（ふとう）不屈（ふくつ）の精神力も、12-22後代の称賛の的（まと）となった。12-23だが、彼の不屈の意志力が最も強く発揮（はっき）されたのは、12-24その計画を実現するまでの十数年ではなかったかと、私は思うのである。（完）

---パロスの港（引用先：ウィキペディア）
パロス・デ・ラ・フロンテーラ （Palos de la Frontera）は、スペイン、アンダルシア州ウエルバ県の自治体。パロスと短縮して呼ばれることもある。
 
（１８）画家カラバッジョ
 
 
謝辞ミチオ・自己研鑽資料
2016/5/4 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義
通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」
2017/3/4