（１３） （１３）
| 13-1ロレンツオの足は13-2彫刻の陳列のほうに向かった。13-3この前ここに来たとき、13-4模刻に熱中している一人の少年を見かけた。13-5その模刻を見て13-6ロレンツオは、13-7この少年の天才を一目（ひとめ）で見抜き、13-8将来この少年が13-9フィレンツェ美術界を背負って立つ13-10可能性に賭（か）けた。13-11彼をメディチ邸に迎え、13-12養子（ようし）同様の待遇（たいぐう）で館に住まわせ、13-13最高の教育を与えることにしたのである。 13-14少年の父親は13-15フィレンツェの中級官吏（かんり）で、13-16息子の彫刻家志望（しぼう）に反対していたが、13-17ロレンツオ様の意向とあらば一も二もなく、13-18またこれほど破格の待遇を提示されれば13-19否やを唱えるわけもなかった。13-20この少年の名は、13-21ミケランジェロ・ブオナローティ。 ---ミケランジェロがなぜ、システィーナ礼拝堂の天井画が短期間で描けたのかがこれで理解できる。旧約聖書の深い知識はこの幼少期に得たものだ。ロレンツオの隠れた功績の一つは人材の育成と投資だ。 13-22この日はそこには誰もいなかった。13-23ロレンツオは13-24修道院の庭の春の静寂を楽しむように、13-25柔らかい草むらに腰を下ろした。13-26実はサボナローラ院長が13-27挨拶に出てきてくれるのを心待ちにしていたのである。13-28じっくり胸襟（きょうきん）を開いて話し合えば、13-29きっと理解し合える。13-30十年前もそうだったのだ。13-31単身敵地へ乗り込んでいった、13-32十年前のナポリ行きを、13-33彼は思い出していた。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2016/5/3 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/3/3 |