（１） （１）
| 1-1西暦１４６９年、1-2初夏（しょか）のフィレンツェ。1-3メディチ家の館（やかた）は婚礼の準備に忙しい。1-4二十歳（はたち）の春を迎えたこの家の御曹司（おんぞうし）、1-5ロレンツオが花嫁を迎えるのだ。1-6相手は名門中の名門貴族、1-7ローマはオルシーニ家のクラリーチェ姫である。1-8メディチ家といえば、1-9フィレンツェ共和国の権力をほぼ独裁的に行使（こうし）できる権門（けんもん：官位が高く権勢のある家）であると同時に、1-10全欧に支店網を張りめぐらせ、1-11金融だけでなく1-12貿易でもお巨大な利益を上げる1-13メディチ銀行のオーナー（しょゆうしゃ）であるが、1-14家柄（いえがら）という点ではそれほどかんばしくない。 1-15当主（とうしゅ）ピエロの祖父ジョバンニが1-16苦労して築いた富を、1-17父コジモが受け継いで、1-18ヨーロッパ最大の銀行に育て上げたうえに、1-19逮捕、1-20亡命という難局を乗り切って1-21共和国の権力を握るところまでのし上げたわけだが、1-22ストロッツイ、1-23パッツイ、1-24アルビッツイ等々（などなど）、1-25中世の暗黒時代から1-26暖簾（のれん：店の格式や信用）を誇ってきた老舗（しにせ：先祖代々の業を守り続けていて格式・信用のある店）の商人たちから見れば、1-27メディチ家は素性（すじょう）の知れない成金（なりきん：にわかに金持になること）なのである。 1-28コジモもその点は気にしていたが、1-29この時代、1-30縁結（えんむす）びということになれば1-31金よりも家柄がものをいう。1-32コジモは、1-33かつての大富豪で1-34今は落ちぶれているバルディ家から1-35妻を迎えることで満足しなければならなかったから、1-36息子のピエロには有力な老舗、1-37トルナブオーニ家の娘で、1-38才女の誉れ高いルクレツッイアを嫁に迎え、1-39家柄（いえがら）改善の道を着実に前進させた。1-40そして今、1-41そのピエロの嫡子（ちゃくし）ロレンツオが、1-42ローマ最高の家柄の一つであるオルシーニ家から、1-43花嫁を迎えようとしているのだ。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2016/4/29 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/3/3 |