（１５） （１５）
| 15-1だが、彼女とその息子たち、15-2特にアルベルコの行ったことを、15-3歴史的に評価せよと言われたら、15-4困ってしまう。15-5ヨーロッパ世界が15-6どん底（ぞこ）の状態に呻吟（しんぎん：苦しみうめくこと）するなかで、15-7カトリック教会という15-8一個の宗教団体が、15-9世俗権力をも担う役回りを引き受けたときに、15-10すでに予定されていた腐敗と抗争が、15-11血で血を洗う骨肉（こつにく）の争いとなって具体化した、15-12とでも言うほかはない。15-13政治的にいえば、15-14アルベルコの独裁は成功で、15-15ローマはその独立を確保しながら、15-16二十年間の平和と安定を享受（きょうじゅ）したのである。 15-17だが、宗教人（しゅうきょうじん）としては15-18言語道断（ごんご・どうだん）というべき所行（しょぎょう）を、15-19彼も、その母と同じく何度も繰り返し、15-20カトリック教皇庁の15-21道徳的威信（いしん）を地に落として、15-22心ある聖職者や15-23信徒（しんと）の顰蹙（ひんしゅく：顔をしかめて不快感を表すこと）と15-24憤激を買った。15-25このままではカトリック教会の将来はない。15-26そう考える真面目（まじめ）な信徒の動きが、15-27そろそろ始まろうとしていた。15-28教皇庁とローマが15-29かくも腐敗しているとき、15-30その動きの中心となるのは、15-31当然修道院ということになる。 15-32フランスのブルゴーニュの、15-33クリュニー修道院には、15-34現状を憂（うれ）える修道士が15-35ヨーロッパ中（じゅう）から集まってきていた。15-36祈りと労働の15-37集団生活の中（なか）で、15-38教会革新（かくしん）、15-39風紀（ふうき）刷新（さっしん）の声は、15-40しだいにその力を強めていった。15-41ここを拠点（きょてん）として15-42全西欧に広がる革新運動が、15-43カトリック教会を不死鳥（ふしちょう）のように立ち直らせ、15-44かつてない威信を確立（かくりつ）することになる。 |
| （１４）異端者アルナルド |
| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/4/10 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/28 |