（１１）三度目の （１１）三度目の
| 11-1ヨハネス教皇は11-2野心的（やしんてき）で好色（こうしょく：女すき）、11-3聖職者としてはとても立派（りっぱ）とは言えないが、11-4政治家（せいじか）としては相当（そうとう）の人物（じんぶつ）で、11-5簡単にはマローチヤや11-6その母の思いどおりにはならず、11-7イタリヤ王で皇帝の冠（かんむり）も戴（いただ）くフリウリ侯（こう）11-8ベレンガリオと結（むす）んで11-9テオフィラット一族を牽制（けんせい）、11-10しばしばマローチヤの鼻をあかしていたから、11-11こんな再婚（さいこん）には反対するのが当然（とうぜん）だった。 11-12激突は避けられないと見た11-13マローチヤが先手（せんて）を打（う）った。11-14グイード候をそそのかして教皇を捕（とら）えさせ、11-15退位（たいい）を強制しただけでは飽（あ）き足りず、11-16そのまま牢（ろう）にぶち込んで、11-17最後（さいご）は殺してしまう。11-18食物（しょくもつ：たべもの）を与えず餓死（がし）させたという。11-19こうして邪魔者（じゃまもの）を消した二人（ふたり）は11-20婚礼（こんれい）を挙（あ）げ、11-21新しい教皇には11-22マローチヤの息子（むすこ）を擁立（ようりつ）、11-23ヨハネス十一世を名乗（なの）らせる。 11-24最初の結婚より前に生まれた子だが、11-25故（こ）教皇セルギウスが実の父であると、11-26誰でも知っていた。11-27西暦９３１年のことである。11-28教皇が実子（じっし）なのだから、11-29マローチヤの教皇庁（きょうこうちょう）内（ない）の実権（じけん）は11-30絶対的なものとなったが、11-31この再婚生活も長くは続かなかった。11-32新教皇の就位後まもなく、11-33グイード候が11-34原因（げんいん）不明の怪死（かいし）を遂（と）げたからである。11-35たぶん彼らの専横（せんおう）を怒った11-36政敵の仕業（しわざ）だったのだろうが、11-37自分の言うとおりに動かなくなった夫を、11-38マローチヤが始末（しまつ）したのだ、11-39という噂（うわさ）も流れた。 11-40事実、夫が亡くなるとすぐ、11-41彼女は三度目の結婚を企（くえわだ）てる。11-42グイードは、11-43教皇ヨハネス十世を亡きものにするための11-44道具に使われただけだった。11-45マローチヤの野望（やぼう）は11-46果てしなくふくらみ、11-47教皇の母、11-48ローマの事実上の君主（くんしゅ）というだけでは11-49満足できなくなっていた。11-50イタリヤ王妃（おうひ）の地位（ちい）を、11-51そしてゆくゆくは神聖ローマ帝国皇妃（こうひ）の地位（ちい）を、11-52彼女は望んだ。 11-53イタリヤ王の称号（しょうごう）を得て、11-54パドバに君臨（くんりん）するプロバンスのウーゴは、11-55亡夫（ぼうふ）の異母弟（いぼてい）であるが、11-56皇帝座（こうてい・ざ）への最短距離にある男だ。11-57自分の息子である教皇が11-58自分の新しい夫に戴冠（たいかん）する日（ひ）を夢見（ゆめみ）つつ、11-59彼女は巧みに自分の縁談（えんだん）を進めた。11-60こうして９３２年、11-61この物語の冒頭（ぼうとう）に記したあの聖天使城での11-62「世紀の婚礼」が実現したわけである。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/4/8 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/28 |