（１）聖天使城での婚礼(こんれい)

1-1西暦９３２年の早春（そうしゅん）の一日（ついたち）、1-2ローマのあの聖天使城は、1-3時ならぬざわめきに包（つつ）まれていた。1-4今日（きょう）ここで、1-5世紀（せいき）の婚礼（こんれい）が挙（あ）げられるのだ。1-6花嫁（はなよめ）はすでに城内にいて、1-7花婿（はなむこ）の到着（とうちゃく）を今（いま）や遅（おそ）しと待ちかねている。1-8その名はマローチヤ、1-9ローマでは知らぬ者のない美女（びじょ）で、1-10その上（うえ）教皇庁（きょうこうちょう）を思うがままに切り回す1-11女傑（じょけつ）でもある。

1-12ただし初婚（しょこん）ではなく、1-13すでに二度（にど）結婚し、1-14二児（にじ）の母（はは）である。1-15その二児の一人が1-16現（げん）教皇ヨハネス十一世（せい）で、1-17彼が教皇座（ざ）に就（つ）いたのも、1-18すべて母の1-19飽（あ）くなき権力（けんりょく）志向（しこう）のたまものなのである。

1-20彼女が待つ三度目（さんど・め）の夫（おっと）は1-21プロバンス出身（しゅっしん）のイタリヤ王ウーゴ（フランス語読みでユーグ）、1-22すでにローマ郊外（こうがい）の宿営（しゅくえい）から1-23こちらに向かっているとの知らせがあった。
 
次へ
 
 
謝辞ミチオ・自己研鑽資料
2014/9/1、2016/4/3 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義
通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」
2017/2/28